日本ハムさんが片手で食べられるパウチ型のラーメンを発売するそうです。
ゲームをしながら機器を汚さずに食事したいゲーム愛好家の声を参考に開発したとのことです。
スープで麺が伸びないようにこんにゃくを使用するなどの工夫がされています。
面白いですよね。
eスポーツの人気の高まりに、市場参入する企業は増えています。
eスポーツのオリンピック開催も決定し、世界的な盛り上がりも高まっていくことが予想されてもいるので、これからどんどんとゲーマーに向けた商品を開発し参入する企業は増えていくはずです。
いろんなメーカーが商品を開発して、需要創造をしようという試みには賛成です。
市場への注目が高まり、さらなる企業の呼水となっていくからです。
ですが、このゲーミングヌードル?には、少し不安を感じています。
そこまで必死にゲームしながら食事を摂りたい人がどれくらいいるのか疑問だからです。
長時間ゲームをするプレイヤーでも、小休止は取ります。
その間に、おにぎりでもパンでも手軽に取れる食事はすでに存在します。
この商品の需要がどこにあるのかというと、よっぽどゲームプレイ中にラーメンを食べたいという人だけです。
ゲーム中に食事がしたい人にとっての選択肢は他にもたくさんある中で、 ゼリーを飲むような感覚でラーメンを食べたい人っているのかな?ということは気になります。
ラーメンの美味しさって、単なる味だけではないですよね?
熱々のスープ、すすることで口の中に広がる風味、ほのかに香る麺の味、あとは不健康だとわかりながらもやめられない背徳感…
おそらくラーメン好きの方にとっては、ラーメン味のコンニャクだと物足りなく感じると思います。
他の選択肢を捨てるだけの魅力を感じてもらえるのか不安なところです。
この市場とのズレが起こってしまう原因は、機会と需要の違いを理解できていないことで生まれます。
機会とは、販売できる可能性のことです。
需要とは、特定の商品に向けられる買いたい気持ちのことです。
ゲームをしている間に機器を汚さず食事をしたいというのは、機会です。
その中で、ラーメンを食べたいというのが、需要になります。
もちろん多くの商品が市場に出回っている場合、ゲームをしながらラーメンを食べたいを機会と捉えて、その中の豚骨醤油ラーメンを需要と捉えることもできます。
そこは市場の規模や判断基準によって捉え方が変わりますが、今回の「ゲームをしながら機器を汚さず食事をしたい市場」で考えれば、ゲームをしながらラーメンを食べたいという需要が存在すると考えられます。
この需要ってかなり少なそうですよね。
そして、そこまでしてラーメンを食べたい人にとっての最適解はカップヌードルです。
その人たちの中で、汁が飛ぶのが嫌だと思う人って、ずっとゲーム配信をしているような人たちになります。
「ゲームを長時間休みなくプレイする人×汁を飛ばさずラーメンを食べたい人」となると、かなりターゲットが狭まります。
そして重要なのが、それくらい必死にラーメンを食べたい人にとって、こんにゃく麺かつゼリーのように飲むラーメン的な商品が好まれるのかというと、正直厳しい印象はあります。
ですが、完全栄養食としてグミを食事としている人がいるように、消費者のマインドセットをして、新しい市場を開拓する可能性も十分にあります。
一般的な商品になることはないと思いますが、特定の層の支持を得られる商品にすることはできます。
このように、今の時代は特定のニッチに向けた小規模な商品をフィットさせていく事業展開が重要だと考えています。
特定のニッチに対して売れれば良い商品の場合、ターゲットにフィットさせやすく、失敗したとしてもリスクを抑えられるからです。
そして今回の商品の良いところは、ゲーム好きな若手社員の方が発案して、それを実現させたという企業姿勢です。
長年続く企業の多くは、若手社員のチャレンジに寛容な企業だという印象があります。
日本ハムさんの新商品「BOOST NUUDLE」が市場にどうフィットしていくのか、これから楽しみです。
ーマーケティングは一日にして成らずー
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