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PRがまやかしになりがちな理由

テマヒマのオフィスは時に駆け込み寺のようになります。

先週末はこの春から大手PR会社に就職した元インターン生(以下:元)が、近況報告も兼ねて遊びに来ました。

平「もう2ヶ月経ったんやー早いな。仕事はどうなん?」

元「いやー、まだたいしたことしてないんでなんともです。入社後1ヶ月感は研修でしたし、最近やっとチームに配属されて業務に取り掛かってます。」

平「研修って座学的な?」
元「そうです。仕事の内容とか、実務につかせた方が早いのに、と思うような内容です(苦笑)」

平「へー、そんな大企業みたいなやり方なんや。意外。今はどういう仕事させてもらってんの?」
元「メディア各社との連携をとったりですね。新卒はだいたいみんな同じことやってます。」

平「まぁ、自分たちが扱っている商品をよく知ってないと提案もできへんもんな。新卒って何人くらいおるん?」
元「40人くらいですね。」

平「結構属人的なビジネスのやり方やってるんやな。メディア掲載をお願いする要員を増やしてる感じやけど、それってPR会社の仕事の本質なのか?って思うねんなー。」
元「どういうことですか?教えてください」

PRの評価をふわっとさせない

広告代理店がプロモーションを行う際に、そのリリースをメディア掲載してもらうためにPR会社に依頼します。PR会社はメディアが取り上げやすいリリース資料を作成し、関係のあるメディア各社へと掲載依頼をします。

彼らの価値はどれだけのメディア露出ができたか?(特にTVに取り上げられたか?)に依存しています。PR活動の報告書では、どの媒体にどんな感じで紹介されたか?その掲載量を広告枠と換算して、「●円分の広告効果があった」というような報告がされます。

つまり、売っている枠を買って情報を載せるのではなく、働きかけによって情報を載せるという手法の違いはあれど、広告媒体としての価値を提供しているということです。

広告代理店がそういう価値観でクライアントへ提案・報告をしてきたから、このおかしな状況がまかり通っていると僕は思っています。

TVの3分枠のコーナーで紹介されたとすると、CVの1本単価を尺に掛けて費用を算出したり、広告出稿時の費用をあてはめて、なにそれって言うようなこじつけの数値を扱っています。視聴率よりもひどい指標だと個人的には思っています。

PR活動によって発信される情報の方が、接触したユーザーにとっては自然な情報として伝わりやすいので、価値はあると思います。でも、広告のように伝えたい内容が伝えられるわけではないので、何を目的とするかを定義しておくことは大切です。

今はそれが露出量になってしまっています。できるだけ多くのメディアに情報を乗せる、これって広告媒体のリーチの考え方と同じです。つまりマス的なアプローチです。

生活者の可処分時間の使い方が多岐に渡り、モノや情報が溢れている今、マス的なアプローチだけでは生活者の心を動かす雰囲気づくりはできません。

日用品など大衆に関係のある商品であれば、できるだけ多くのメディアでその情報が取り上げられた方が良いとは思います。「商品が出た」という情報が露出されればそれでOKです。

でも、大手企業ではない多くの企業の商品やキャンペーンには特定のターゲットがいるはずです。その人たちに届くメディアで、そのメディアの世界観の中で紹介されていなければ、どれだけ露出が増えたとしても意味がありません。


PRは雰囲気づくり

これからのPRはメディア化している個人とどう付き合っていくかが重要だと思います。生活者もメディアからの情報よりも、お気に入りの人からの情報に対して敏感に反応しています。この流れがより加速していくと僕は考えています。


これからのPR会社は、インフルエンサーと呼ばれる発信力・影響力のある人たちを囲い込み、彼ら彼女らの世界観やフォロワーとの関係を理解することが必須になると思います。

商品やキャンペーンに最適な協力者に対して、どういう企画を作ればインフルエンサー達が反応し、コンテンツ化してくれるのかを、企画できるのが今後のPR会社の価値になるはず、と言う話を元インターンにしました。


実務に忙殺されると、どうしても近視眼的になってしまい、ただの作業者になりがちです。目的に立ち返り、全体を俯瞰して、自分が今何をするためにその仕事に取り組んでいるのかを、常に意識していることが大切だと思います。


仕事自体に意味は無いと思っています。自分がそれをどう意味づけして向かい合うかしかそこにはありません。

粒に目が行くと、あれもこれもとなってしまい、自分が今どこにいて何をやっているのかが見えづらくなります。時折視点を引き上げて、目指す方向を見定めて、そこに向かうための前進ができているのかを確認する作業が必要です。

今回、その作業が僕との壁打ちの中でできたみたいなので、引き続き前向きに頑張ってくれたら嬉しいなと思います。

素材提供:ぱくたそ

モデル:よたか