マーケティングセンスが磨かれるのは接客の場、というお話。
企業の管理業務を楽にするクラウドサービスをしている会社に務める知人がいます。彼と近況を報告し合うために飲みに行きました。場所は恵比寿横丁。無駄にわくわくします。
彼は顧客の利用状況を見て、使えていないユーザーが居れば、チャットなどでアクションを取り、利用を促したり、顧客からの要望を吸い上げて開発へと機能要求を出したりする役割をしています。
マーケティング担当者を募集中ということもあり、マーケティングの話を聞きたいと言われました。
業務管理系のサービスを経験していたマーケターがなかなか見つからない、というのが悩みだと言われました。
でも、その悩みは本質的ではないなと思ったので、僕はこう答えました。「企業向けのサービスでも、それを判断するのは人やん。toCのマーケティングをしていた人でもいいよ。」と。
僕はtoCのビジネスのほうがマーケティングするのは難しいと思っています。なぜならtoBのビジネスはニーズが明らかで、顧客のビジネスに根ざしやすいので安定的な顧客形成が見込めるからです。
個社対応はトレンドを失う
何十年前に作ったんや?てシステムを未だに使っている企業とかありますよね。
企業のダメなシステムの話をすると、情シスの人が自分の存在価値を出すためだけに構築された融通の利かないシステムとよく出会います。企業にシステムを合わすのではなく、システムに企業を合わせる方がコスパが良いと思っています。
ASP型のサービスは対象企業の同じ課題を解決するために、最大公約数を抜き出して開発されています。追加要求があれば、それに対応する追加の開発が行われます。そのため使い勝手がよく、トレンドにあったカスタマイズがされていきます。
自社でカスタマイズしてしまっていると、いちいち開発の手間とコストがかかってしまいます。投資できるときはいいですが、いったん売上が停滞すると、守りの予算は削られがちですよね。
何億もかけてしいまってるから、今更引けない「生きる屍のようなシステム」がゴロゴロしてます。損切りは早ければ早いほど良いということを知ってほしいもんです。
マーケティング部の8割はプロモーション部?
話はマーケティングの話に。マーケティングとセールスの違いを話し、今彼がやっている業務がまさにマーケティングの核を担うこと、webを使ったセールスやプロモーションがマーケティングではないことなどを説明しました。
マーケティング=プロモーションの頭があったようで、そこについてハッとしてました。
「募集も『プロモーション担当者』としている方が最適な人が来るのか?と聞かれたので、「プロモーション担当の募集を掛けるときには、『マーケティング担当者』としておいた方が食いつきが良い」とアドバイスもしておきました。
実際の業務はプロモーションだったとしても、応募者からしたら「マーケティング」という響きの方がかっこよく聞こえるからです。それに、プロモーション担当者の経験しかなかったとしても、「自分がやってきたのはマーケティングだ」と思っているからです。
「正しくはないけど、お互いがそう思っていればそれが正」そんなイメージです。不本意ですが笑
8割以上の企業のマーケティン部はプロモーション部なのではないかと思います。でも、そこに違和感を感じている人は多くありません。それはみんながみんなそう思っているので、それが正しい姿だと思って仕事をやっているからです。
大きな企業は縦割り構造の組織や過去の体験から、なかなか本来マーケティングが関わるべき横断的な業務ができる状況にはなかなかできません。
まだ組織体形のできていない比較的新しい会社に対して、マーケティングのあるべき姿を啓蒙していくことは価値のあることだなと感じました。
マーケティングに向く人材
どういう人材が相応しいのか、という話になり、マーケターの採用基準として接客業を経験していることと伝えました。
なぜならお客さんの立場にたって物事を考えることができ、喜ばせるためにはどう立ち振る舞うべきか、考えて行動する力が身につくからです。
酔っ払いを相手にする居酒屋での接客は、わけのわからない相手とのコミュニケーションなので、相当接客のセンスが磨かれます。
またフロアリーダーをやるようになると、現場の状況に応じて複数人のスタッフをハンドリングしながら業務を回す力も付きます。チームで取り組むマーケティングの現場力がとても身につくと思います。
ちなみに、ふたりとも居酒屋でのバイト経験があり、「確かに」と妙に納得感を得ました。
マーケティングセンスを図る指標として居酒屋バイト経験を加えてみてはいかがでしょうか?