モデル版「Uber」と称されているサービスがあります。
ニューヨークで注目を浴びているアプリで「SWIPECAST」です。ニューヨークのモデルエージェンシーが立ち上げたサービスで、ファッション業界における数々の無駄を解決するためのアプリだそうです。
モデルをキャスティングする際、事務所とのキャストの調整やスケジュールとの調整に時間や労力がかかります。
また、モデル自身にも渡る報酬が少なくなるという不都合もあります。依頼する側と価値提供する側の双方の不具合を解消し、「ファッションに関わるあらゆる人をマッチングするアプリを作ろう」と考えて作られました。
探す、交渉、支払いを全て一括管理できるようになっており、非効率だった事務所を通してのやりとりが軽減され、モデル自身は見合わない報酬の仕事を減らせているようです。運営は手数料10%を受け取り、残りはモデルが全て受け取れます。
その力は誰のお陰で付けられるのか?
一見、理にかなっているように思えるけど、個人的には日本でうまくいくビジネスモデルではないなと感じました。
理由は、事務所が機能しなくなることでモデル自体が存在できなくなる可能性があるからです。
世の中でいきなりモデルとして活躍できる人がいるわけではなく、事務所がメディア露出などの機会をつくるから、モデルとして仕立てあげられるのです。
それらの仕事の積み重ねでモデルとしての知名度を上げていくことができます。そしてやっと名指しで仕事をとれるようになります。
生まれながらのモデルはいません。ド素人がモデルとして仕事をつくれるほど開かれた業界でもありません。
モデルが自分のお金を得るために入れた仕事のために、事務所が引っ張ってきたより大きな仕事をブッキングできないとかも起こりえると思います。
モデルとしての実績を積ませるための仕事を選んで事務所側は動きます。モデルとしてのキャリアを見据えた仕事を経験のないモデル自身が選んでいくことはできないですよね。
モデル自身も望んでいるのはより大きな舞台での仕事だと思います。それに支払われるフィーではないと思います。
それに、コネと貸し借りで回っているような世界で、報酬を抑えられるからと個別にモデルにアプローチする企業やイベントがあるのか疑問です。
もしかしたらアメリカでは、モデル自身がプロデューサーとして立ちまわっている環境があるのかもしれません。そうであれば、自分を売り込むのも仕事を作るのも自分の思うようにやれるので、このサービスは便利なものだと思います。
でも日本ではまだまだモデルが自立できる環境ではないと思うので、このビジネスモデルでは事務所にしっかりと管理してもらえないような小粒なモデル(自称)に、低単価でモデル依頼ができるくらいのサービスにしかならないなと感じてます。
ーSWIPECAST ウェブサイトより
参考:http://www.difa.me/style/swipecast