先日美容院の帰りに牛カツを食べました。
上京してからずっと銀座にある美容室へ通っています。だいたい子どもと留守番の日曜日に合わせて行っているのですが、今回は予約が取れなかったので土曜日に1人で行きました。12:30からの予約で、お昼を食べずに行ったので、終了後何か食べてからオフィスに戻ろうと、あたりを物色。
美容室のすぐそばの一角に「牛カツ」の写真を発見。14時を回っていたので半ば諦めながら様子を見てみると、「商売中」の看板が目に入ったのでそのお店に決めました。
のれんをくぐり、地下へと続く幅70cmほどの階段をコの字に下ると、そこには券売機。それを見た瞬間「銀座の高級そうな雰囲気出しているお店で券売機やと、ちょっと雰囲気壊すなー」と思いながら、牛カツ定食1280円のチケットを購入。
引き戸を明け、中に入ると、右手にL時型のカウンター席、左手にはテーブル席。キレイな内装で雰囲気は良い。
程なくしてお皿に牛カツとサラダ、ご飯と牛骨スープ、お漬物とつけだれが運ばれてきました。サラダの盛り付け方も心なしかお上品に見える。ランチとしては若干高めに感じたものの、出されたものを見てそれだけの価値はありそうだと納得。
まずはスープ、「おいしい」。次にサラダ、「おいしい。ドレッシングが異様においしい」。そして牛カツ、「おいしい」。最初は岩塩で一口。上品な衣がサクッと、お肉も味がしっかりとして、小さく切っているけど食べごたえがありました。わさび、さしみ醤油、ガーリックソースなどいくつか味のバリエーションも楽しめて、最後まで飽きずに完食。
食べながら店内の様子を見てみると、入店直後は気づかなかったのですが、カウンターにお茶のポットと、プラスチックのコップが備え付けられていました。券売機同様、多少セルフにすることでお店側の負担を減らして、良いものをリーズナブルに届けるためには、カットできるところをカットしてるのだと勝手に想像。
顧客の期待値を理解できているか?
後ほど、ブログ用にお店の名前を調べるために検索してみました。「銀座 牛カツ」ですぐに食べログのページを発見。
口コミを何気なく見てみると、お水がセルフなこと、食器を載せているお盆が食堂ぽいこと、をネガティブに書き込んでいる人がいました。牛カツについての感想も、目についたのはあまり良くないものが多かったです。
もしかしたら銀座のお店ということで、料理以外の期待値も上がっていた状態で来店した人が多いのかもしれません。付近で働くサラリーマンがいつもより意気込んで来店したのかもしれません。
人はいろんな期待を持って、商品を買います。期待を満たすために商品を買っていると言えます。
企業側が伝えていることはもちろん、勝手にイメージをふくらませることもあります。その時に、企業が自分たちの提供できる価値を正しく顧客に伝えることで、購入後・利用後に与える印象が変わります。
このお店の場合、「リーズナブルに提供するためにセルフにしていること」「食材以外にコストをかけないようにしてること」を事前に伝えていれば、食事についての期待値を高めることと、価格に対しての妥当感を与えられます。
「牛カツが流行っているので、いろんな牛カツがあるけども、うちのお店の牛カツはこういうところを楽しんでほしい」と、自分たちの牛カツの特徴をきちんと説明していれば、牛カツに慣れた客によその牛カツとの比較をされることを回避できます。
消費者は自分の知っている知識・経験の範囲でしか、未体験のものに対する想像ができません。それを如何に正確に自分たちの提供できる結果とマッチさせられるかで、購入後の満足度が違います。
「期待していたものと違う」「あまり結果がでなかった」と思われるのは、その説明が足りないからです。もしくは半ばだまし売りをしている場合です。
個人がカンタンにネガティブなことを広められる時代で、期待のミスマッチを少なくすることはお客さんを集めることと同じくらい大切だと思います。
僕がもしこの食べログの口コミを事前に見ていたら、入店していないと思います。入店していたとしても、特に気にしなかった部分を気にして、食事体験を多少ネガティブに感じてしまっていたかもしれません。
僕も券売機に対して「ちょっと雰囲気壊すなー」と、料理以外の部分で少しネガティブな印象を確かに持ちましたが、出された料理の手の欠け方に満足したので、トレイやお茶のセルフとかは特に気になりませんでした。
牛カツの味に対しても批評するつもりで食べていないので、おいしく食べられて、満足のいくランチができました。
たとえお店側が改善をしていても書き込まれた口コミは変わらないので、WEB上の口コミを鵜呑みにするのは危険だなと改めて感じさせられました。普段から投稿日や掲載日は気にして情報収集をしていますが、自分の目や耳で得る情報を大事にしていきたいと感じた出来事でした。
p.s.
プラスチックのコップはせめて陶器の湯のみとかにしたらいいのにとは思います。それだけで、ネガティブを払拭できるわけですから。
でも、意外とこういうことって気づいていないことが多いので、自分たちの商品が顧客にどう思われているのか?顧客はどういう体験をしたいと思っているのか?を改めて整理してみると良いと思います。
ちなみに、このお店です。
http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13191491/