みすず学苑という予備校の奇抜な広告の知られざる秘密が話題になっています。
歴史上の英雄のコスプレ、ダジャレで構成された広告のクリエイティブは嫌でも目に止まり、記憶に残ります。実績なども表現されていますが、そんなところに目がいかないくらいインパクトのあるビジュアルで構成されています。
「知ってもらう」「興味を持ってもらう」という広告の機能としては成立しているので、あとはこういう表現が好きな学生が興味を持って、自ら入りたいという意思を固めるのだろうと思っていました。たぶん親はおバカな表現に食いつかないと思うので。。
「みすず学苑の広告やCMは、なぜ毎年、あんなに意味不明なのですか?」という質問に対して、公式サイトで回答がされていました。
みすず学苑の回答はこんな感じです。「あの奇抜な広告表現に興味を持つ学生は、既成概念の枠を超えられる生徒です。つまり、「予備校は予備校らしくあるべきだ」と思っている人は、普通の予備校に通えばいい、というスタンスです。
既成概念の枠を超えられる素質を持っているからこそ、普通じゃない学習方法にも夢中で取り組み、2倍の勉強時間、3倍の学習量にも立ち向かうことができるのです。
その結果、どんなレベルからでも成績を伸ばし、進学率91.07%を15年連続で達成できています。あのCMは、実は高い合格率を誇る、39年のみすず学苑のノウハウでもあるのです。」
自分たちの学習方針についてこれるポテンシャルのある生徒を、広告によって選別していることが、みすず学苑が長く実績を出し続けられている秘訣だったのです。
広告の役割を正しく理解できていますか?
広告は顧客の購買プロセスにおける最初の施策になります。商品について知らない人に対して、商品のことを「知らせる」「興味を持ってもらう」ことが役割です。それにより、次のプロセスへと進むためのアクションを起こすきっかけをつくります。
世の中の多くの広告は、そこで何も言ってないか、全てを言おうとしてしまっています。本来は、商品のターゲットとして相応しい人たちを、購買プロセスに乘せるための行為でなければいけません。
広告する際は、ターゲットを決め、そのターゲットへアプローチできるセグメントを設定し、そのセグメントに対して訴求できる媒体を探すと思います。結果が良くなければ、また別の媒体を探します。新しい媒体ができたと知ると試してみたくなります。
ターゲットに対して訴求する点において、「誰に、いつ、どこで」見せるかは大切です。ですが、これらだけでは広告はその役割を果たせません。
なぜなら、そこで「何を言うか」「どのように言うか」が、反応を得るためには必要だからです。適切な相手に、どんぴしゃのタイミングで広告できたとしても、そこで伝えられているメッセージが気を引くものでなければ、興味を引き、次の購買プロセスへ進むためのアクションには繋がらないからです。
同じ媒体に出稿したとしても、広告表現を変えることで得られる結果は変わります。媒体を売る広告代理店は、反応を得られるクリエイティブを作れていない状態で、媒体を次から次に提案してきます。それは媒体を売ることが彼らの仕事だからです。
結果がでなくても、媒体のせいにして、また新たな媒体を持ってきます。他社で成功した媒体、新しい媒体など。
もちろん、より自社の商品のターゲットが濃く存在するセグメントに対して広告できる媒体を探すことは大切です。
ただ、それと同じように「何を言うか?」を追究しなければ、いつまでたっても得たい反応を得られない広告をし続けることになります。
僕はメディアプランニングをする時に、あまり細かくセグメントを切りません。その理由は、広告クリエイティブによってその精査をかけることができるからです。
反応して欲しい人が多くいるところを探すよりも、できるだけ広範囲に対して露出をし、反応して欲しい人に響く表現を作ることで、ターゲティングをするイメージです。
そうすることで、絞り込むためにかかるコストや工数を削減でき、結果的により多くのターゲットを集めることができるという考え方です。
webの広告は細かくセグメントできるところがオフラインの広告とは違う特徴ですが、絞り込みをすればするほど、出稿にかかるコストは高くなります。
それに見合うだけの反応が得られないのであれば、不用なセグメントを排除して広く出稿し、広告への反応を高めることに注力することをおすすめしています。
みすず学苑は、あの広告に反応する人たちが自分たちのサービスに合うターゲットだと言っています。これはまさに広告クリエイティブによってターゲティングをしている好例です。
参考:http://feely.jp/44490/2/
出典:出典:misuzu-gakuen.jp