企業で働くマーケターにとっての悩みの種に、上司がマーケティングを理解していないことがあります。
たくさん勉強して、自社の現状を分析して、対策を検討しても、それを受け入れてもらえなくて、結局今までと同じようなことしかさせてもらえていないマーケターは多いです。
「何か策はないのか?」という圧力はかけてくれるものの、そのために必要なリソースを用意してもらえないことも少なくありません。
こういう状況が起こる理由は、上司がマーケティングを魔法の杖のように感じていたり、マーケティングを単なる集客の施策だと考えていたりと、MarketingDriverとして活動している担当者との間に知識の差があるためです。
だからと言って、その知識の差を埋めようとしても、それは難しい話です。
なので、多くのマーケティング担当者は理想と現実との間で日々葛藤をしています。
では、どうすれば組織の決定権を持つ上司を説得し、あるべきマーケティングを推し進められるのかについてお話しします。
組織に提案を通すための2つのポイント①信頼
上司に提案を受け入れてもらうためには、「信頼」と「客観性」が必要です。
信頼とは相手を信じて頼る気持ちです。
上司から「あなただから頼む」「あなたならできる」と思ってもらえているかどうか、ということです。
上司はメンバーに対して「もっと積極的に提案をしてほしい」と思っていますが、本心では「自分の考えを実現してほしい」と思っています。
これは相反する思いではなく、「自分の考えを実現するための積極的な提案をしてほしい」という考えになります。
なので、上司の思惑に乗っかっていない提案は、上司にとっては求めていない提案になります。
ましてや、上司の考えとずれる指摘などは、歓迎されるものではありません。
マーケティングを理解している身としては、正しくマーケティングを推し進めるために、上司を説得しようとしがちですが、そうするとほぼ間違いなくその説得は跳ね除けられます。
なので、上司がどういう考えを持っていて、自分に何を期待しているのかを知る必要があります。
いわば、上司へのターゲットリサーチを行うということです。
そして、その求めていることを期待通りに、できれば期待値以上に価値提供することで、上司からの信頼を勝ち取ることができます。
そうすれば、こちらの提案に対して理解できない部分があったとしても、「あなたがいうなら任せてみよう」という態度に変わり、提案が通りやすくなります。
組織に提案を通すための2つのポイント②客観性
次に「客観性」についてお話しします。
客観性とは誰が見てもそうだと言える状態だということです。
簡単に言えば、数字で表せるようにすることで客観性が出ます。
1は誰にとっても1で、100は誰にとっても100だからです。
なので、提案をする時にも具体的な数字を入れるようにします。
目標とする売上や利益を具体的にすることはもちろん、それを達成するための各プロセスでの成果物も具体的に数値化します。
それらをいつまでにやるのか、どれくらいやるのかを数値化すれば、提案する相手にも具体的に伝わるようになります。
組織で通らない提案の多くは、具体性に欠けていることが原因です。
なぜそれをするのか、何をするのか、どのようにするのかが伝えられていたとしても、どれくらい、いつまでにやるのかが伝えられていなければ、その提案が実現される見込みがあるとは思えないからです。
さらに、提案に関して言えば、数字を使った普遍的な客観性だけではなく、相手の立場に立った客観性も考慮する必要があります。
一般的には正しくても、提案する相手の主観的には正しくない場合もあるからです。
正論だったとしても、マーケティングへの理解がない上司に提案が通らないのはこのためです。
なので、やはり提案する相手が何を求めていて、どんな価値観を持っているのかをまず知ることが大切になります。
今回、組織で提案を通すために「信頼」と「客観性」が必要だというお話をしましたが、これはクライアントへ対しての提案、仕事のメンバーに対しての提案でも同じです。
誰かに何かを伝えて、期待通りの動きをしてもらうための提案に必要な要素が「信頼」と「客観性」です。