大成功しているプロモーションがあります。
Twitterで連載されていた「100日後に死ぬワニ」というゆるい漫画です。
主人公のワニが死ぬまでの日常を切り取った漫画なのですが、1話1話は大したストーリーがなく、ラストに向かっていくにつれ、100日後に死ぬことがわかっている主人公がどのように死んでいくのかが気になり、SNSではちょっとした話題になっていました。
ファンの中では生活の一部になっている人もいて、「死んでほしくない」という感情を抱く人もいるくらいです。僕自身もSNSで話題になっていた頃に1度読んだのですが、展開もオチもない内容に興味がわかず、それ以降読むことはありませんでした。
100日目に起きた騒動
その「100日後に死ぬワニ」が先週末の3月20日春分の日に最終話を迎えました。そして、テレビなどでもネタが取り上げられ、映画化の話、グッズ販売の話、イベント開催告知など、一気に火が付けられました。Twitterのトレンドワードでも1位になったようです。
合わせて「電通案件」というワードとともに批判の声がSNS上に拡散していきました。最終話と同時に次々に展開されるタイアップやPR、いきものがかりが公開した追悼ソングのスタッフに電通PRの人が居たこと、制作会社の取引先に電通東日本の名前があったことなどで憶測が広がっていきました。
個人が始めたことに共感し、100日目をファンで迎えるワクワクドキドキを楽しんでいた人たちからは、「もともと電通が仕込んでいたことなんかい!」的ながっかり感、ある種の騙された感が蔓延した状況です。
それが更に火をつけ、各種webメディアもこぞって取り上げ、より注目を集める結果となっています。
プロモーションとして評価できる点
どんな入り口にせよ、気づいて触れてもらえる時点で成功していると思っています。どんなに優れた商品やキャンペーンも、知られなければ存在しないのと同じだからです。
アンチが出れば、それに対抗する意見が出ます。実際に、作者からも個人で始めたことで案件ではないという発表があったり、そのことでまたこの事案に対する考察記事が出たり、いろんな主張が巻き起こり、今日もニュースを広げていっています。
その結果、そういう情報に触れた人々がどういう行動を取るかと言うと、「話題になってるし、ちょっと見てみるか。」という自分の目で確かめて見ようという行動をとります。結果、原作のPVは増え、本も売れ、映画も見られ、グッズも買われるという仕掛け人が求める結果に繋がります。
この騒動への考察
アンチコメントが広まった理由としては、”プロモーションではないと思っていた純粋なコンテンツが実はプロモーションだった”というところに、「騙された!」と感じる人達が多かったところです。自分たちの意思で動いていたのに、誰かの手の上で踊らされていた感覚なんだと思います。
それが「電通」という都市伝説化しがちな広告会社の名前が出てきたことで、さらに加速した格好だと思っています。
マーケティングを生業としている側としては、そんな事は世の中に多く存在するので、特に気にもなりません。ウナギだって、サンタクロースだって、バレンタインだって、文化や習慣として捉えられているものも、誰かが仕掛けたものだったりします。
実際のところは、SNSで話題になっているかつ話題のピークを予測できる事案だったので、PR会社が絡んできたというのが実際のところなんだと思います。
あと、電通が絡んでいるかも不明ですしね。首とった!的なTwitter投稿でさらされてたのも、電通PRと電通東日本ですし。広告業界に長く居た身としては、別物だという認識を持っています。
良いコンテンツであれば、どれだけアンチが出ようと評価されます。
普通に考えれば少し間を取って、プロモーション展開をします。でも、最終話の日をあえてプロモーション解禁日にしたのだとしたら、それも考えつくされた結果だとしたら、相当のやり手が裏にいるんだなと感じますw
p.s.
100日分も読む時間ないので、これ以上ワニとは関わらないと思いますが、最終話に隠された秘密には少し感動しました。