価格だけで買うものを選ぶ人は全体の20%程度だという話があります。どういう調査対象、どれくらいの母数に対して、どういう調査だったのかはわからないので、調査結果の信憑性は定かではないですが、一つの参考指標として考えることはできるっと思っています。
ここから読み取れることは、多くの人は価格だけで買う買わないを判断していないということです。
商品が売れない時、「顧客の買い求めやすい価格じゃないからだ。」と考えがちです。でもこれはマーケティングを担う人間としてはイケていない考え方だと言えます。
なぜなら、買い求めやすい価格が顧客の最も重要な購買決定要因ではないからです。顧客が求めているのは、商品を通して得られる結果、何かしらの課題解決です。そしてその時に得られる感情です。
未解決の問題を解決し、未達成の目標を達成できるなら、それに見合う対価を支払う準備はしています。支払ってくれないのは、その対価に見合う価値が無いと思っているからです。
”全く同じ結果を得られる商品なら安い方が良い”、という判断基準はあります。競合商品の方が安いから売れているという状況があるとしたら、それは自社の商品が同じ商品だと思われているということです。
同じ水を売る時でも、砂漠でオアシスを探してさまよっている人に売るのと、街中にいる人に売るのとでは、その商品の価値が変わってきます。前者は命と同等、後者は別に今無くても良いもの。
この極端な状況と同じような状況が、商売の現場では日常的に起こっています。
マーケティングによって相対的な価値を引き上げる
一般的なマーケティングの主戦場では、喉の乾きを今すぐ解消したい、眼の前の課題が死活問題になっている人を探しています。でも本来、潜在的な需要を掘り起こして、そこに価値を結びつける活動がマーケティングのより重要な側面です。
商品自体の価値を高めて、顧客にその価値を十分に理解してもらうことで、競合商品よりも高い価格だったとしても、顧客にとって安い商品にすることができます。
高い・安いは相対的な評価です。何かと比べて判断しているので、同じものだと思われなければすべてが適正価格になります。USP(独自のウリ)が必要だと言われるのは、この理由からです。
課題認識の浅い状態だと、より高い価値を求めません。課題認識をしっかりと持ってもらい、解決した時に得られるものの価値の大きさを理解してもらうことで、顧客の見えている世界が変わります。
それがマーケティング担当者の仕事だと言えます。
p.s.
「売れないな〜」と思っているなら、価格よりも顧客が得するにはどうすればいいか?を考えてみると良いと思います。