吉野家さんがデジタルボトルキープサービスを始めました。
ちょい飲み客の利用促進のために始められた、回数券をデジタル管理できるようにする取り組みです。通常ビール10杯3500円のところを10杯分3000円で購入できます。ミソはアプリで残量が管理ができ、全国540店舗どこでも使えるというところです。
通常の回数券だと常に持ち有るのはめんどうです。全国540店舗のスケールメリットもあり、施策としてはとても良いと思いました。
マーケティングとして良いなと感じたのは、「回数券」という表現ではなく「デジタルマイボトル」というラベリングをしているところだと思います。
ボトルキープしている感覚にすることで、定期的に通おうという動機が生まれます。
人への話のネタにもなります。無くなってくればボトルを入れたくなります。アプリ上で可視化されているため、その頻度が高くなることも想像できます。なによりお酒が好きな人間にとって「ボトルキープ」という響きはなんとなく心動かされます。
コンセプトとはひと言でそれと伝わるもの
コンセプトが大事だとよく言われます。コンセプトとは「基本的な概念、全体を貫く観点・考え方」のことです。「要は●●だ」とひと言でそれを表し、相手に瞬時に伝わるものです。
今回の吉野家さんの事例は「全国どこでも使える回数券をアプリで管理できる」という新しい施策に対して、「デジタルキープボトル」というコンセプトによってニュースを伝わり安くし、ちょい飲みユーザーの心を掴みました。
マーケティングで最初に考えることは、”誰に・何を・どのように”です。
吉野家さんの事例では、「顧客もしくはちょい飲みをしたいと思っている人」に、「吉野家のちょい飲みサービス」を、「アプリで管理できる全国どこでも使えるお得な回数券サービス」によって、浸透させていこうとしています。
そして、”誰に・何を・どのように”は上流の要件を定めるだけでなく、各施策の方針を考える上でも使います。
伝わりやすい表現にするために、”誰に・何を・どのように”を考えます。今回の場合は、「顧客もしくはちょい飲みをしたいと思っている人」に、「アプリで管理できる回数券サービス」を、「デジタルボトルキープというコンセプトで伝えること」が最も興味を引き、利用促進へと繋がる表現だ、という感じです。
全ての施策において”誰に・何を・どのように”を考えます。あまり意識はされていないかもしれませんが、事業や企画全体の”誰に・何を・どのように”を決めて、それを実現するための施策毎に”誰に・何を・どのように”を決めます。
ここでそれぞれの”誰に・何を・どのように”は、上流の”誰に・何を・どのように”とズレや飛躍が無いようにしなければいけません。ここがずれていることで、目的と手段とのズレが生じて、事業や企画はうまくいかなくなります。うまくいっていない事業の大きな原因のひとつがこれです。
マーケティング担当者は上流の設計だけでなく、各施策担当者が行う設計が、マーケティング全体の”誰に・何を・どのように”とのズレが無いかを監視して進行していく必要があります。
成功には3つの目が必要と言われています。「鳥の目と虫の目と魚の目」です。鳥の目とは全体を俯瞰する観点。虫の目とは部分を狭く深く見る観点。魚の目とは流れを感じ取る観点のことです。
是非マーケティング業務においても、全体の設計図を頭に入れ、各施策がどういう役割を持って機能しているのかを見て、実施ているものがどういう方向に進んでいくのかを感じ取っていくように意識してみてください。
参照:http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1607/20/news120.html