返報性の原理が効力を失う時…

「返報性の原理」という人間の性質があります。

何かをしてもらったら何かを返さないといけない気持ちになる、というものです。

友人からお土産をもらったら、自分が旅行に行った時にその友人にお土産を返そうという気持ちになりますよね。

相手から何かをされた時、借りがある状態に感じます。

その借りを返さなければ、元の状態に戻れないので、少し気持ちが落ち着かなくなります。

そのため、何かしらのお返しをすることで、プラスマイナスをもとに戻そうという力が働く、というものです。

返報性の原理はマーケティングにもよく使われています。

わかりやすい例は食品売り場での試食です。

ノベルティなども返報性の原理を利用した手法です。

ですが、この返報性の原理が機能しない状況があります。

それが、「何かをしてもらった」が「やって当然」という意識に変わっている時です。

食品売り場で試食があるのが当たり前と思っている人は、試食をしてもプラスを受け取ったとは感じず、ただ自分に与えられた権利を実行しただけと感じます。

企業からもらうノベルティなども、当たり前のようにもらっていると、プラスを受け取ったとも感じません。

なんなら、受け取りを断れない不要なものを持たされたと感じることもあります。

つまりプラスを受け取っていないので、プラスを返してプラスマイナスをもとに戻そうという気持ちにならないということです。

こういう状況では、返報性の原理の効力は発揮されません。

顧客に対して手厚いサービスを提供し、満足度を高めようという動きはよくありますが、果たしてそのサービスを顧客がプラスと感じているかどうかを改めて考えてみてください。

プラスに感じてもらえていないようなら、それにかけているリソースはそのまま無駄なものになってしまっています。

返報性の原理の効果を発揮させるためには、相手がプラスに感じる体験を提供しなければいけません。

どんなプラスを相手に与えられていますか?

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