マーケティングに携わり19年、ここ10年ほどは主にダイレクトレスポンス領域に関わってきてるのですが、年々「CRM」というワードを耳にするようになっています。
CRMとは顧客関係管理のことで、「企業と顧客との関係性を管理する」もの。 広い意味では「顧客と良好な関係性を築き、継続していくための施策」を指します。
新規獲得のハードルが上がり、各社の獲得コストが上がり続ける中、既存顧客の売上、つまりLTVを高めることが事業成長のセンターピンのように語られることが増えました。
そのため、多くの企業が顧客に対するコミュニケーションを増やし、販売機会を増やそうとしています。
主な施策はメールやLINEなどで継続的な接点を持つという方法です。
ですが、多くの企業がただのセール情報をプッシュしているだけの状況です。
これではCRMではなく、より売りやすい見込み客へのダイレクトセールスをしているに過ぎません。
CRMの本質は「自分の決断は間違っていなかった」と感じてもらうことです。
顧客は初めて商品を買う時、ベネフィットへの期待で買います。
そして、実際に使用し、ベネフィットを実感し、期待通りもしくは期待を超えた時に「自分の決断は間違っていなかった」と感じ、またその商品を買ってくれます。
それは商品そのものが提供する機能的ベネフィット以外にも、丁寧な対応をしてもらえる、他の人も効果を得ている、その商品が人気である、などの理由によっても「良い商品を使っている」という実感が生まれます。
そのために、顧客とコミュニケーションをとり続けて、多くのベネフィットを知覚してもらうことが効果的です。
そしてその先に、より多くのベネフィットを手に入れるために別の商品を買う、アップグレードするなどの購買アクションが生まれます。
そして、より多くのベネフィットを手に入れたいと思っている顧客に対して、それを実現する追加の商品を提供することで、LTVを高めていけます。
CRMの本質を捉えたCRM施策があるので紹介します↓
「グッドごはん」という1人親家庭への食糧支援をするプロジェクトがあります。
これは、その運営団体から届いたハガキです。
ハガキには支援家庭の方が買いたイラストが描かれており、子供たちからの感謝が伝わります。
特に気にせず寄付をし続けているのですが、こういうハガキを受け取ると「自分の決断は間違っていなかった」と感じることができます。
これにより、引き続き支援しようという気持ちになりました。
これがCRM施策でやることです。
そして、食事をとれない1人親家庭が増え寄付が足りず、十分な物資を提供できなくなり、寄付金の追加を依頼してきたとしたら、その依頼に応じるかもしれません。
これがアップセルです。
もしこの団体が何か他の困った人たちへの支援プロジェクトを立ち上げ、その支援の依頼をしてきたら、そちらへの支援をしたくなるかもしれません。
これがクロスセルです。
追加の販売は後です。
まずは今買っていただいている商品に対して、顧客に「自分の決断は間違っていなかった」と感じてもらうためのアクションが大切です。
すぐに成果に繋がるわけではないので、コストがかかります。
そういうレスポンスのないことにテマとヒマをかけ、継続性を高め、長期で見たときの収益性を高めていくのがCRMです。
もちろん、広告に比べて低コストでアプローチできる見込み客として捉えてセールスすることも効果的ではありますが、それはCRMとは言えません。
既存顧客に対して「自分の決断は間違っていなかった」と感じてもらうためのアプローチはできていますか?
コメント