高い買い物をした時の行動心理

  1. プランニング

お正月にダウンコートを買いました。

服には興味がなく、基本はその時気に入っている服をずっと着ているような人間です。服を買うのは年に1回とか2回とか。何年も同じ服を愛用していることが多く、オシャレ好きな奥様からはいつも「また同じ格好や」と馬鹿にされ続けいています。

そんな僕がこの間、高い買い物をしました。

初詣の帰り、大阪の天王寺という街で奥様が見たいものがあると言っていたので付き合っていました。「またどうせ何も買わんのやろな」と渋々いつものウィンドウショッピングという理解不能な女性の趣味に付き合っていました。

「5,6年着ているあったか系の上着がへたってきていたので、そろそろ新しい上着欲しいな」という話を僕が少し前にしていたので、奥様が僕の服を探してくれました。ファッション好きの奥様は、買うならこれやろうというものをいくつか考えていてくれたようで、セレクトショップをいくつかハシゴしました。

THE NORTH FACEを試着、上半身ごつい人のようになり「想像と違う。足が短いからか?」と侮辱を受ける。

次にCANADA GOOSE。奥様の1番のおすすめらしい。(梨花が着てたというだけの理由やろ!※奥様は梨花マニア)

浅黒く、ひげもじゃの見るからにアウトドア系の店員さんからすすめられたダークネイビーの細身のダウンコートを試着。

身体にまとうような着心地で、シルエットもキレイ。ダウンのもっさり感がなく、やけにスタイリッシュ。「あ、これなんかええ感じやん」。あまりごちゃごちゃ探すのが嫌いな僕は、直感で「これがいいな。欲しい。」と思いました。

欲しいと思った時にとる行動。値札を見みると93,000円!「はぁ?!服にそんな出すんかいな?」と尻込み。。値段に怖気づいてそわそわする僕の横で山男にいろいろ質問する奥様。どうやら相当な人気ブランドで、新作は秋頃からどんどん売り切れていく様子。在庫もお店に残っている物しかなく、シーズンに入ってからは買い手のつかなかったカラーやモデルだけが売れ残っている状態らしい。

しかもいま着ているこのええ感じの物は今年の新作で、形も今までよりオシャレ仕様になっているとのこと。サイズもちょうどで、色も似合ってるから見つかってラッキーだという。あなたは選ばれた男だと賞賛する山男。

「確かに他のモデルよりすっきりしてて、シンプル好きの自分にはぴったりの服や」と心の中で、自分を納得させる理由をつくる僕。

CANADA GOOSE以外にも他ブランドのダウンを試着。それぞれ良さはあるものの、最初に来たCANADA GOOSEにはかなわず、各ブランドの作り方の違い、使われている羽毛の違い、値段が高くなる理由など、素人には興味深く、感心を持たせてくれる山男。

オシャレ番長の奥様も「やっぱり似合うな。CANADA GOOSEはええと思っててん」と僕の自尊心をくすぐる。

「10万も服に使いたくないけど、10年着れるとしたら1年で1万やしなー」と価格を自分の超えられるハードルまで下げる僕。そこで奥様からの「半分出すで。クリスマスプレゼントで」と僕の背中を押すトドメの一撃。僕はためらうことなく93,000円のダウンコートを買うことにしました。

人は感情で買うと決めて、理屈でそれを正当化する

普段クライアントさんにもよくお話しする僕が好きな顧客の行動心理のひとつです。顧客の買う時の心理を知れば、商品を売ることがとてもしやすくなるからです。売るために何をすればいいかがわかるので、手法を考える前にまず顧客の心の動きについて教えています。今回の話はまさにそれが体現されたエピソードでした。

新しい上着が欲しいと思っていた僕は、CANADA GOOSEというどうやら人気のダウンコート試着し、「かっこいい、欲しい」と思いました。

でもそこに立ちはだかる価格の壁。欲求を満たす対価として見合っていなかったので、すぐに買うという決断には至りませんでした。

そこで壁を取り払うための理由(自分を納得させるための事実)を探そうとします。

今回買うを決めるための十分な情報として僕が得たもの。

・ファッションの専門性を持つ奥様からのお墨付き

 >商品自体も間違いないし、似合っている。

・店員さんという商品に対する専門家からのお墨付き。

 >素人に理解しやすいようになぜ人気なのか、なぜこの新作のコートが良いのか、なぜこの価格なのかの理由をわかりやすく説明。

・高い商品でも買う人がたくさんいるという社会的証明

>シーズン前に無くなる、今棚にあるだけという事実が、他の人も買っている安心できる商品であることを証明。

・複数の試着(複数の提案)

 >複数を試着したことによって、”買うor買わない”の選択肢に、”この中から選ぶ”という行動が加わります。その時点で、CANADA GOOSEを手に入れたい欲求が高まっています。これは売り手の魔法にかけられた状態です。

・最後の1点という希少性

 >売れ残り品しか市場に出回ってない年始のタイミングでの出会えた感。

・極めつけの奥様からの半額オファー

 >高い壁は超えられる壁に変わりました。

買った後も、「いいものは長く着れるし、数年も上着は買ってなかったし、お正月やし」などの高いものを買った罪悪感を打ち消すための理由を考えながら帰りました。

今では毎日着たいくらいのお気に入りです。まだちょっと着る時にドキドキしてますけど(笑)

p.s.

マーケティングを体系的に理解していると普段の生活にたくさんの事例が転がっていておもしろいですね。

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平岡 大輔

プロモーション領域の端から端までを熟知しているバランス型マーケター。
総合広告会社でTVCM中心にマスメディアのプランニングに従事。
web系ベンチャー企業でクリエイティブ事業部の責任者として多数のwebサイト開発に取り組みながら、EC企業のマーケティングコンサルタントとしても活躍。D2C企業の経営に参画し、年間5億円の広告費を使いながら理論と実践のPDCAを回している。マーケティングのプランニングからディレクションまでを得意領域としており、チームビルディング・チームマネジメントにも精通。

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