この世で最も適当に使われている言葉の1つに「ブランディング」があります。
ブランディングという言葉はよく口にされるものの、正しく使われていることはほぼありません。
ブランディングって何だと思いますか?
多くの人が「会社のイメージを生活者に植え付けること」的な文脈で認識してます。
ブランドとは生活者からのお墨付きです。
ただ知っているということではなく、そこには理解と評価と信頼があります。
ですが、多くの企業は「知っている」を作るために、見栄えの良いロゴを作る、耳触りの良いメッセージを作る、それらを広告でばら撒き、「こんな会社」というイメージを刷り込むことを、ブランディングだと思っています。
これは間違いです。ただの認知拡大施策です。しかも、自分本位の押し付けでしかありません。
例えるなら、「俺ってこんなことしたいんだ」「俺ってこんなことしてるんだ」「俺ってこんなこと思って、あなたと接してるんだ」「俺はこうありたいんだ」みたいなことを、ひたすら言い続けてくる人のような感じです。
これに対しての相手の反応は、「あいつってこういうことを言ってる人だよね」です。
本当にそういう人だと思っているかどうかは別です。
ただ本人が「こう言っている人」なだけで、「そういう人」だという認識にはなっていません。
「俺ってすごく誠実なやつなんです」と言われても、「誠実だと言っている人」でしかなく、本当に誠実だとは思われていない感じです。
本当に誠実な人だと思ってもらうためには、言葉だけではなく行動によって、本当にそう感じてもらう必要があります。
相手との関係を通して、自分に対してどんなことをしてくれてるのか、どんなことをしてきてくれたのか、これからもどういう人であるのかを、信じてもらえて初めて「あいつはこういう人だ」というお墨付きが得られます。
これがブランディングです。
相手に対して「この人はこういう人だ」と思っている時、その人の言っていることだけではなく、その人の行動や自分への対応などで相手のことを理解し評価し信頼しているはずです。
それなのに、多くの企業が「私のこと」を伝えることで、相手に理解と評価と信頼を促せると思ってしまっています。
ブランドを確立する行動がブランディングです。
多くの企業がブランディングと称してやっていることは、イメージの刷り込みです。
ブランディングは「私たちはこうである」「私たちはこうありたい」を伝えて、理解と評価と信頼を促す活動ではありません。
ブランディングとは、認知から購入、購入後の接点全てで、「私たちはこうである」「私たちはこうありたい」を商品やサービスなどを通して体現することによって、顧客からの理解と評価と信頼を手に入れる活動です。
つまり、ビジネスプロセス全てがブランディングの機会だと言えます。
そして、マーケティングの結果によってブランドが確立されるということを覚えておいてください。
ーマーケティングは一日にして成らずー
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