マーケットイン・プロダクトアウトとは?|マーケティングの2つの方向性

  1. 知識

マーケティングを学ぶとマーケットインとプロダクトアウトという言葉に出会います。

「顧客を向いた方と製品を向いた方でしょ」くらいの意味で理解されている方も多いと思います。マーケットインの時代だと言われていますが、実はプロダクトアウトの時代になっていくと僕は考えています。まずは、マーケットインとプロダクトアウトの基本的な考え方についてお伝えし、なぜプロダクトアウトの時代になっていくのかをお話します。

マーケットインとは

マーケットイン発想とは、見込み客が求めている商品を作り提供するという考え方です。マーケット(市場)から始めるということですね。顧客が求めている商品を届けるのだから、売れますよね。それでマーケティング終了です。でも、なぜ多くの企業がマーケティングに悩んでいるのか。それは、顧客が求めているものを知るのが難しいからです。

そのため、生活者が求めていることを知るために調査が必要になります。マーケティングがリサーチのことだと間違われていたりするのは、顧客を知ること=マーケティングだという考え方になってしまっているためです。

モノが不足している時代では、みんなが必要とするモノは同じようなものでした。テレビ・洗濯機・自動車など、生活をより豊かにするための商品をみんなが求めていました。そういう時代では生活者の求める商品が明らかなので、マーケットインの発想で商品を作りやすかったと言えます。

でも今の時代、多くの人が生活に必要な物はほとんど手に入れてしまっていると思います。これがないと不便という状態で暮らしている人は少数派です。なので、これが足りていないと誰もが思えるわかりやすい商品は存在しません。

見込み客はより良い生活を求めています。それはモノによる価値ではなく、サービスによる付加価値を求めているとも言えます。そのため、なかなか情報としてはとらえにくく、多くの企業が商品作りに困っている状況です。

昔であれば、リサーチによってどういうところに住んでいるどんな人たちが、どれくらいの稼ぎがあり、どんな商品を欲しいと思っているのかを調査することで、その情報を元にその人たちのための商品を作り届けられました。

でも、付加価値を求める時代においては、アンケートなどで出てくる表面的な回答を元に、見込み客が本当に求めていることを知ることはできません。そのため、多くの調査がなんとなく行われて、マーケティングに役立てられないものになってしまっています。

顧客を知ることはマーケティングの出発点であり、成功と失敗を分ける大きな要因になります。でも、生活者の求めることが細かくなっている今、それを見つけることは簡単ではなくなってきています。

プロダクトアウトとは

プロダクトアウト発想とは、売り手が良いと思った商品を作り売るという考え方です。アーティストに似たところがあるかもしれません。自分がいいと思ったものを作り、それを人に評価してもらって買ってもらう感じですね。

プロダクトアウトではダメだと思われている理由は、「良い商品を作れば売れると思っているからだ」というところにあります。企業活動において、自分たちが作りたいから作るみたいな発想はないと思います。「こういう商品があったら、欲しいと思う人がいるだろうな」と思うから、それを作ります。でも、顧客をよく見ずに想像で「これを欲しいと思う人がいるだろうな」と思って商品作りをしてしまうところがダメなだけです。

4Cの記事でご紹介した使わない機能もりもりの家電や、必要以上の軽量化・薄型化を求めた携帯電話などがまさにこれです。

顧客の求めていることを知らずに、自分たちの思い込みで商品を作ってしまうところに、プロダクトアウトではうまくいかないと言われる理由があります。


マーケットインとプロダクトアウトはどっちが良いのか?

世の中的にはマーケットイン発想をすべきと言われています。なぜなら、生活者の暮らしは便利になり、必要な商品はほとんどの人が手に入れているからです。見込み客は、今より良い商品を求めている状態なので、その+αの価値が何なのかを知らなければ、求められる商品を作ることはできません。

だからと言って、生活者が「こういうのあったらな」と思っている商品を作るだけではいけません。なぜなら、他の企業もそれに合わせた商品を作って売ってくるからです。結局、似たような商品が見込み客の目の前に並ぶことになり、顧客の買い物を複雑化させていきます。

商品の情報や口コミなどの評価はすぐに調べられます。その時、選ばれる理由がないと買ってもらえる商品にはなりません。似たような商品であれば、最終的には価格で選ばれてしまいます。そうなると、生産力や資本力で勝てる大手企業には勝てません。

では、どうすればいいのか?

僕はプロダクトアウト発想がより重要になっていくと考えています。なぜなら、商品の強みを作れるのがプロダクトアウト発想だからです。世の中に無い商品を作り、競合との争いの場からは離れたところで商売ができる状況を作ることが、多くの企業にとっての成功への近道だと思っています。

今より良い生活を求めている見込み客が求める、自分にど真ん中の商品だと感じてもらえるような独自性のある商品が選ばれていきます。独自性があれば、情報の海の中でも見つけてもらえる存在になれます。

もちろん、見込み客が求める価値を提供できるという前提は外してはいけません。なので、顧客の理解という点ではマーケットイン発想も必要と言えますが、表面的な顧客の求めているものを知るというよりは、見込み客自体も意識できていない内面的な欲求を叶えてあげる商品にするというところがポイントになります。

「これ!これ!こういうのが欲しかったんだ!」「これはまさに自分のために作られた商品だ」と思ってもらえるような商品を作ることが、マーケティングを成功させるために重要になっています。

まとめ

マーケットインもプロダクトアウトもマーケティングしていく上では必要な発想です。どちらかだけが正しいというものではありません。マーケットイン発想だけでは、横並びの商品になり価格競争に巻き込まれてしまいます。見込み客の内面的な欲求を叶えてあげられる、独自性のある商品(自分たちにしか作れない商品)を作るというプロダクトアウト発想が必要になっていきます。

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平岡 大輔

プロモーション領域の端から端までを熟知しているバランス型マーケター。
総合広告会社でTVCM中心にマスメディアのプランニングに従事。
web系ベンチャー企業でクリエイティブ事業部の責任者として多数のwebサイト開発に取り組みながら、EC企業のマーケティングコンサルタントとしても活躍。D2C企業の経営に参画し、年間5億円の広告費を使いながら理論と実践のPDCAを回している。マーケティングのプランニングからディレクションまでを得意領域としており、チームビルディング・チームマネジメントにも精通。

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