盛況感をつくれ〜流行るお店の作り方〜

  1. プランニング

会社の近所にできた「肉寿司」へ行きました。

1週間くらい前にOPENしたそのお店が会社の行き帰りでずっと気になってました。「肉寿司」。なんとも食欲をそそる店名です。渋谷駅から会社までの坂の中腹に、5坪くらいのちいさな店舗。席はL字型のカウンターのみで、入れてmax8人くらい。


22時を過ぎた頃に集中が切れたので、サクッとご飯を食べて帰ることにしました。向かった先はもちろんここ数日気になっていた「肉寿司」。道に面して引き戸になっているので、一瞬どこから入るのか迷いましたが、席の空きが見えた右側の扉を開けて入った。

のれんをくぐるとカウンターの中に男性が2人、「いらっしゃいませぇぃ!」と威勢のいい挨拶。「1人です。」と答え、L字の箸の席に座る。両側に1組ずつ。これでほぼ満席。席の後ろには人が通るスペースはなく、店員さんも壁際にじっと立っているような圧迫空間。

生ビールを注文し、メニューに目を通す。お肉のネタが最初に目に入る。あとは馬肉の刺し身、サイドメニューと続く。まずは馬肉を注文。種類も8種類くらいあり、迷いましたが、「極上ヒレ」なるメニューを注文。せっかく楽しみに来たので、良いものを少しずつ食べて帰ろうという魂胆でした。

赤い馬肉が小皿に並べられて、わさび、しょうが、にんにく、唐辛子のトッピングとともに登場。やわらかく口の中で溶けている食感はたまりませんでした。味のバリエーションもあり、飽きさせません。

続いて「肉寿司」に来たからには肉のお寿司を頼まないと帰れません。「雲丹とろ軍艦」、名物「さしとろ」を注文。「雲丹とろ軍艦」はインパクトに欠けましたが、お上品なお味で舌鼓。そしてメニューを見ながら名物「さしとろ」を待つ。

「なかなか出てけえへんなー寿司なんて早く出てきそうやのに。忘れてんのかなー。」と思っていると、A4サイズくらいの大皿一面に広げられた肉!中央に若干の盛り上がりが有るそれを、店員さんが目の前でバーナーであぶり出しました。

「でか、えらいもん頼んでしまったで。。真ん中の盛り上がりにしゃりが隠れてるんやろな。。」と驚く。いろいろ楽しむつもりが、これで一発KOされてしまい、昨日は終了となりました。脂身もあり、テカっている肉面だったので、脂っこいのかと思いきや、しつこくなくペロッと食べられました。2人でしっぽりカウンターで飲むには良いお店だと思います。1人だとすぐにお腹いっぱいになってしまう。

狭小で盛況感をつくりだす

流行るお店の条件に「入店のしにくさ」があると思います。許容人数が少ないという意味です。入りたくても入れないことがあると、次こそ何が何でも行ってやる!という気持ちになります。


人は、手に入らないものが欲しい」のです。この「肉寿司」もおそらくゴールデンタイムは常に満席状態だと思います。

家の近所にOPENしたカレー屋さんがあります。カレー屋と言っても、中東系の人がやっている郷土料理的なお店です。店内は広く、40人くらいは入れると思います。道に面した窓からはがらんどうとした店内がいつも通りから見えます。

大通りに面しているものの、この辺りは住宅街で家に帰る人たち以外はあまり通りません。このあたりで外食をするのは1人客や2人客が多く、この広い店内を常に埋めておくのは至難の業です。広めのお店でもファミリー層を取り込めているお店は流行ってますが、このお店は料理のジャンルとして馴染みの薄いものなので、頻度多く通う家族層はあまりいないと思います。

そして何より、がらんどうの店内をさらしていることで、ネガティブな印象を持たせてしまい、初めて利用することになる客の足を遠ざけています。僕自身もその1人です。

日本人が好む「社会的証明」というやつですね。95%の人は人の決めたことに従っていきていると言われています。混んでいるお店は行ってみたいけど、混んでいないお店は入りづらい。混んでいるお店は並んででも入りたい。自然とそういう行動をとります。


もし味に違和感を感じても、これだけ人気なのだから自分の好みがおかしいのかな、こういうものなのかな?と店側に都合の良い解釈をしてくれたりもします。

その状況を生み出すために、店舗面積は小さい方が良いと言えます。近い場所で数店舗運営すれば、お客さんの回し合いもでき、仕入れの共有もできて、事業が安定します。この肉寿司も渋谷のもう少し中心よりのところにもう1店舗あります。この戦略をうまく活用されている会社さんだと興味を持ちました。

「盛況感」、つまり流行っている空気を作ることはマーケティング担当者の仕事として大切だと思います。店舗ビジネスであれば、お店を狭くする、元気な接客、エンタメ性のあるメニューや提供の仕方。これらの施策によって、盛況感を出しているお店が多いと思います。

ECでも例えば、限られた時間しかOPENしないお店、特定の広告からしか入店できないお店、とかがあってもおもしろんじゃないでしょうか?


p.s.
後ほど、2階から2、3組のお客さんが出てきました。この狭小物件で2階にも客席あるんかい!と驚きました。秘密基地みたいな感じなので、今度は2階で密会しようと思います。

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平岡 大輔

プロモーション領域の端から端までを熟知しているバランス型マーケター。
総合広告会社でTVCM中心にマスメディアのプランニングに従事。
web系ベンチャー企業でクリエイティブ事業部の責任者として多数のwebサイト開発に取り組みながら、EC企業のマーケティングコンサルタントとしても活躍。D2C企業の経営に参画し、年間5億円の広告費を使いながら理論と実践のPDCAを回している。マーケティングのプランニングからディレクションまでを得意領域としており、チームビルディング・チームマネジメントにも精通。

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