「高いから買わない」を取り除く

  1. プランニング

今日もおもちゃが増えている。

家に帰る度に何かしらおもちゃが増えています。そんなたいそうなおもちゃではなく、ちょっとしたものです。飲食店のおまけとか、ガチャガチャとか。

奥様が火水定休なので、火曜と水曜は息子(3才)を連れてお出かけしています。なので、火曜と水曜は僕が仕事を終えて帰宅すると、だいたいリビングのテーブルの上とか床に見たことないおもちゃが転がってます。

今日も水族館で買った(ガチャガチャ?)と思われる魚の形をした置物と、最近どはまりしている仮面ライダーゴーストの変身ベルト(簡易版)が。母親としては、息子の喜ぶ顔が見たいという気持ちから、欲しいと言ったものを買ってしまっているのだと思います。

それを僕は「またいらんもん買って」と冷ややかに見流す。とは言え売る方もうまい具合にちょっとしたおもちゃを所々に配置しています。ショッピングセンターではいたるところにガチャガチャの機械、スーパーでは子どもの目線にキャラ物の惣菜、ファミレスでは当たり前の毎くレジ周りに。子どもが行く場所には常に企業と親との戦いがあります。

こないだ感心したのは、トイザらスでおもちゃの合間を塗ってお菓子が随所に配置されていることです。見渡すかぎりおもちゃの空間は、子どもにとっては夢のような世界です。ただしそこには、全て買ってもらえるわけではないという厳しい現実も待っています。親にとっては芋づる式におもちゃを欲しがるできれば足を踏み入れたくない世界です。そこで活躍するのが点在するお菓子たちです。

「あれ買って、これ買って」と駄々をこねる子どもは、経験上、いつしかその玩具が欲しいという欲求から、買って欲しいというただものを得たい欲求へと変わります。そこで登場するのがリーズナブルなお菓子たち。「こっちの方がええやんー、これにしよー、このお菓子。」と子どもを説得しようと(だまくらかそうと)している親の姿が目に浮かびます。

子どもの方もおもちゃをそう簡単に買ってもらえるとは思っていない中、駄々こね作戦をによる戦利品を得られて満足します。場所をスーパーに移した場合、このお菓子を買ってもらう行為が子どもたちの目的になります。日常難しいお菓子を得たい欲求が、おもちゃ屋ではいとたやすく叶います。

何も買わないという選択肢をさせないために、いたるところに買いたくない大人と買いたい子どもとの落とし所となるお菓子を点在させているのだと思います。いや、実に巧妙。

ギャップを利用したコントラストの原理

おもちゃ屋のお菓子はコントラストの原理が利用されています。子どもの欲しいを叶えるための方法として、おもちゃだと高い、でもお菓子だと手頃、そう感じさせる効果があります。また、数千円のお菓子を買ったついでに、数百円のお菓子を買うのは容易いことになります。


家を買う時の家具がまさにそうですね。家具だけを買う場合は数十万とかとても出せないと思っていても、数千万円の買い物をするときの数十万は誤差の範囲です。ばんばん欲しいものを選んでしまうのではないでしょうか。

結婚式のオプションとかもそうですよね。数時間着る服のために当たり前のように20、30万円を支払います。それ単体ではありえなくても、全体で数百万円の買い物をしているので、自分の欲求を最大限に優先します。この時は魔法の言葉「一生に一回やしな」も大いに機能します。

価格は絶対的なものであるけど、時に相対的にもなります。例えば1日で換算すると100円です。一生に何度も買うものではないし。機能は同じですが昨シーズンの商品なのでこの価格。


「高いから無理」と思われるのが買わない理由で最も多いと思います。でもそれはターゲットに商品の価値を十分に感じさせられていないからです。まずやるべきは、その価格が適正である、むしろお得であると感じてもらうことです。

そのために必要な情報を提供すること、価値を信じるのに十分な裏づけを用意することが必要です。でもコントラストの原理のように、顧客の「高い」という感覚的な障壁を取り除くためのテクニックも必要になります。

人は商品の良し悪しに関わらず、買うという行為事態に後ろめたさを感じ、思い切りが悪くなるものです。なので、高い買い物をする時に合わせて売る、高い商品を見せてその落とし所として売る、などの買い易い状況を作ってあげることも、マーケティング担当者の仕事です。

こういう売るためのテクニックは何か騙そうとしているように感じられる人もいますが、その商品を届けることで顧客にメリットがあるものなのであれば、買うことへの心理的な障壁を取り除くための必要な作業と言えます。

 

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平岡 大輔

プロモーション領域の端から端までを熟知しているバランス型マーケター。
総合広告会社でTVCM中心にマスメディアのプランニングに従事。
web系ベンチャー企業でクリエイティブ事業部の責任者として多数のwebサイト開発に取り組みながら、EC企業のマーケティングコンサルタントとしても活躍。D2C企業の経営に参画し、年間5億円の広告費を使いながら理論と実践のPDCAを回している。マーケティングのプランニングからディレクションまでを得意領域としており、チームビルディング・チームマネジメントにも精通。

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