高い買い物の心理|感情で決め、理屈で正当化する購買行動の仕組み

人はなぜ、高額な商品を前にしても「欲しい」と思い、最終的に購入を決断してしまうのでしょうか?
この記事では、私が実際に93,000円のダウンコートを購入した体験をもとに、高額商品を買うときの心理プロセスと、そこから学べる販売のヒントを解説します。
購買心理を理解すると、営業やマーケティングでお客様の背中を押す方法が見えてきます。

1. 服に興味のない私が、高額なダウンに惹かれた日

お正月。初詣の帰り道、大阪・天王寺で奥様のウィンドウショッピングに付き合っていました。
私は年に1〜2回しか服を買わないタイプ。何年も同じ服を着続け、オシャレ好きの奥様からは「また同じ格好や」と突っ込まれる日々です。

そんな私が「そろそろ冬用の上着を新調したい」とつぶやいていたのを覚えていた奥様が、いくつかセレクトショップを案内してくれました。


2. CANADA GOOSEとの出会い

まず試着したTHE NORTH FACEは、なぜか上半身がごつく見え、「足短いからちゃう?」と奥様に軽くディスられる始末。
次に訪れた店で、奥様イチ押しのCANADA GOOSEを試着しました。(理由は「梨花が着てたから」らしい…)

アウトドア感漂う店員さんにすすめられたダークネイビーの新作ダウン。袖を通した瞬間、驚くほど軽くて暖かく、シルエットもスッキリ。
「これ、なんかええ感じやん…」と直感的に思いました。


3. 立ちはだかる“価格の壁”

しかし値札を見ると93,000円
服にここまで払ったことのない私は、即決できずにそわそわ。
その横で奥様と店員さんは、CANADA GOOSEの人気ぶりや新作の改良点、在庫が限られていることを楽しそうに話しています。

  • 社会的証明:「シーズン前に売り切れる人気商品」

  • 希少性:「在庫は店頭の現品のみ」

  • 専門家の保証:店員がわかりやすく説明する品質と価格の理由

こうして、欲しい気持ちはますます膨らみます。


4. 自分を納得させるための理由探し

「10万は高いけど、10年着れば1年1万円か…」と、自分の中で価格を分解してハードルを下げる私。
さらに奥様からの「半分出すで。クリスマスプレゼントで」という甘い誘惑。
その瞬間、価格の壁は一気に崩れ、購入を決断しました。


5. 購買心理のフレームで振り返る

今回のケースは、マーケティングや心理学でよく言われる購買プロセスにぴったり当てはまります。

  1. 感情のスイッチ(直感で「欲しい」と思う)

  2. 価格の壁(高額ゆえに迷う)

  3. 納得材料の収集(専門家の保証、社会的証明、比較検討、希少性)

  4. 価格ハードルの低減(長期使用の計算、割引オファー)

  5. 購入後の正当化(「いいものは長く着られる」などの理由付け)


6. 高額商品販売に活かせるポイント

私の体験から、高額商品の購買を後押しするには以下が有効です。

  • 試着や体験で感情を動かす

  • 専門家・第三者の保証を提示する

  • 社会的証明(人気や口コミ)を示す

  • 希少性を演出する

  • 価格ハードルを下げる提案を用意する


まとめ

高い買い物は、感情で決めて理屈で納得するもの。
この心理を理解すれば、営業やマーケティングで「お客様が納得して買う状態」をつくれます。

p.s.
マーケティングを知っていると、日常の買い物にも面白い事例が溢れています。次はどんな心理が働くのか、観察してみてください。

買った後も、「いいものは長く着れるし、数年も上着は買ってなかったし、お正月やし」などの高いものを買った罪悪感を打ち消すための理由を考えながら帰りました。

今では毎日着たいくらいのお気に入りです。まだちょっと着る時にドキドキしてますけど(笑)

平岡 大輔

株式会社テマヒマ 代表取締役/マーケティング歴20年/事業成長に悩む企業のweb集客ROI改善を支援/売れるLP改善を得意とし、大手から中小企業まで100本以上のLPを改善/著書『売れるランディングページ改善の法則(技術評論社)』

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