「マーケティング3.0」(フィリップ・コトラー)

来週、コトラー教授が来日します。

ワールドマーケティングサミットジャパン2016という、経営者・マーケター・学者が集まるイベントに参加するためです。(2日間開催され参加費86,400円というなかなか気合の入ったイベントです)

テマヒマの支援したい中小規模の企業のために生かすには高次元な話が多いので、普段は学術的な話はあまり入れないようにしています。

ただ、マーケティング業界の有名人が来ること、このイベントが最後の日本開催であること、日本のadtechを主催する武富さんからの推薦もあり、自分自身の勉強のために参加することにしました。

コトラー教授はマーケティング「近代マーケティングの父」などと称されているマーケティングに携わる人の先生的存在です。

コトラー教授が世の中から賞賛されている特徴として、点在するマーケティングに関する知識をわかりやすく、体系的に編集していることが挙げられます。

とはいえ、学術的な内容なのでわかりやすくと言ってもとっつきにくい印象です。大企業の事例が多いので、自身のビジネスに生かすためのイメージがしづらかったり、表現も小難しいものが多いので、理解しながら読み進めるという形を取らざるをえません。

たぶん何かしら読まれたことがある方も居るとは思いますが、何度もまぶたが閉じてきたのではないかと思います。僕もその1人です。

せっかく最新の講義を受けられるので、過去の著書を復習してコトラー教授の理論をインプットしてから挑もうと思い、代表的なものを何冊か読んでから参加することにしました。

製造から消費者、そして価値へ

昨日は子どもが昼寝をしている間に、「コトラーのマーケティング3.0 ソーシャルメディア時代の新法則」を読みました。

この著書のポイントは、これまでのマーケティングの流れを掴めることと、今の時代で目指すべき企業のあり方や、そのためにやるべきことが紹介されているところだと思います。

モノを売り込む「製品中心」のマーケティングを「1.0」、顧客満足を目指す「消費者思考」のマーケティングを「2.0」、世界をよりよい場所にするための「価値主導」のマーケティングを「3.0」として提唱しています。

工業化・機械化の促進によって、製品をより良いものにして、必要としている消費者へ届けることが最初のマーケティングでした。

情報革命によって消費者が自分で必要な情報を取捨選択できるようになったことで、個別の消費者に向けた製品づくりサービスづくりアプローチなどを通して、顧客の満足を満たすことがここ30年のマーケティングでした。

そして今、ソーシャルメディアが台頭し、消費者自身がマーケターとして機能できる環境化において、企業と消費者の垂直統合を目指すのではなく、企業と消費者の横のつながりを作ることによって、マーケティングの推進を目指すということが提唱されています。

そのためには、最新の技術を用い、市場をマインドとハートと精神を持つ全人的存在と捉え、価値主導のマーケティング・コンセプトを持ち、企業のミッション・ビジョン・価値を元にした、機能的・感情的・精神的価値を提供することで、多数対多数の協同を実現するということが必要だと語られています。

顧客満足を目指すだけでもまだまだいける

とはいえ、今の日本の企業の多くはこんな先進的なことに取り組めるような状況ではありません。
ほとんどが製品中心のマーケティング1.0を目指している状況だと僕は思います。

うまくビジネスができている大企業や一部の中小企業がマーケティング2.0に取り組めている状況ではないでしょうか。

実際に僕が企業のマーケティング支援をする時も、顧客主導で物事を捉えることから始めます。市場をセグメントして、その中からターゲットを絞り、ポジショニングをどこに取るか?ということを主軸に始めます。

カンタンに言うと「誰に・何を・どのように」を整理することです。常に顧客の声をビジネスの中心に考え、できるだけ自分の経験則で判断はしないようにします。

具体的なメッセージを作る時も、ヒアリングを実施してそこから作り上げていきます。答えは常に顧客が持っているということを念頭に置いてマーケティング活動にあたっています。

先進的なものに世の中の人は飛びつきがちですが、本質を体現できていない状態で取り入れても表層化するだけです。

マーケティング自体が新しくなっていくわけではなく、原理原則はそのままに、時代に応じたやり方があるだけだと思っています。過去も変わらず存在した原理原則をないがしろにして、新しい考え方だけを取り込んでもうまくいくはずはありません。

僕のミッションは「ムズカシイをカンタンに」なので、小ムズカシイ話をできるだけカンタンな表現で伝えていけるようにこれからも取り組んで行きます。
 

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