PRという広告

  1. コラム

PRというものが正しく扱われる世の中が待ち遠し良い、というお話。

PRtableというベンチャー会社に最近参画した知人とご飯に行きました。場所は富士屋本店。渋谷で有名な立ち飲み居酒屋です。

前々から気にはなっていたものの、怪しい外観からなかなか踏み出せず、行く機会を作れていない状況でした。

人通りの多くない道の地下に続く細い階段を降りると、15m四方くらいの店内の中央に大きなロの字型のカウンターがありました。その周辺を囲うように店内は人で埋めつくされていました。大衆感半端ない。

カウンターの中は数人のおじさんとおばさんがせかせかと動き回り、一度注文のタイミングを逃すとなかなか店員さんを捕まえられない状況。店側も客側もまさに戦場という感じでした。

PRという名の広告


PRtableは、企業・団体の“想い”を言語化し、ステークホルダーに伝えるために最適化したストーリーの作成・蓄積・活用を提供しているサービスです。

PR・HR・IRに効果的なストーリーを掘り起こすことで、ミスマッチのない社会を実現しようとしています。

大手PR会社出身の代表の方が、一般的にPRとされている「企業のリリースをどれだけメディア露出するか」を目的としたPR活動に疑問を感じて創業しました。

大企業を中心に行われているPR活動はメディアにリリースを流すことが目的になっています。

数年前から戦略PRという言葉が流行り、単純なリリースを流すだけではなく、リリース前に世の中の空気感を作るということにも多少取り組まれて来てはいますが、まだまだ活動の大部分はメディアに如何に掲載するか?というところに重きを置かれている状況です。

戦略PRとして行われていることの多くは、新商品に都合の良い調査結果を集めてニュース化する、メディアが取り上げやすいタレントを呼んでイベントをする、などです。PR会社というよりプロモーション会社の様相を呈してきてます。

成果としては、TVの情報番組で紹介された、Yahoo!ニュースに載ったなどが成果として見られ、広告を出した時の費用換算をして、効果があったなかったという議論をしている状況です。

これは広告代理店主導で行われてきたことで起きた弊害だと僕は思っています。広告枠ではないメディアへの露出枠という捉え方をしてしまっているため、「広告費換算」という言葉があたかもPRの成果を計る指標として扱われてしまっています。

ブログのステマ問題があり、広告枠ではない掲載面への露出に「PR表記」をつけるという決まりごとがあります。でも、正しくは「AD」表記だと思います。お金を出して枠を買っているのですから。

そういうおかしな状況を作り出した、大きな広告代理店の息の掛かった人たちが集まる業界団体に対しても疑問を投げかけざるをえません。

生活者との関係を作れるのは商品ではなく人


PRというのは世の中との関係づくりです。「新商品が出たよ」ということを広告枠ではないコンテンツ枠で紹介することではありません。でも大手広告代理店とそれに紐づく大手PR会社によって、PRという名の広告がスタンダードになってしまっています。

企業の中の人や活動、企業や商品の生まれた背景など、他社にはないストーリーをメディアと親和性のある形でコンテンツ化していくことがPR活動の肝だと僕は思います。

良い商品を積極的にアピールして売る時代は過ぎ、顧客の趣向に合わせた商品や売り方をする時代も当たり前になってきています。

今後更に成熟していく市場では、より他社との差別化が求められます。その時に重要なのが、ブランドを確立することだと言われています。そして、そのために重要な役割を担うのがPRだと感じています。

今のブランディングは自分たちの描いたイメージを広告によって生活者に刷り込むという手法がメインです。これは広告代理店が主導して企業のブランディングをしてしまっていることが原因です。彼らは広告を出すことが目的なのですから。

ブランドは企業の主張を体現する活動によって、顧客の共感を得ることで成立します。そして、人が共感を得るのは人に対してです。モノやサービスではありません。

企業も法人という人格です。法人に共感を持たせられればそれがベストですが、まずはそこに関わる人に対しての共感をつくることから始めると良いと思っています。

Appleはブランドを持った企業だと思います。Appleに共感している人がAppleのことを思い浮かべる時に、スティーブ・ジョブズの姿が必ずあります。

スティーブ・ジョブズという人の信念を体現する商品、体験を提供し続けてきたことで、Appleという企業へのブランドが確立されたのだと思います。

通販会社さんでは、代表の方のストーリーを掲載していることが多いのですが、あれはストーリーによって共感を得て、商品の購入動機へとつなげるためにやっています。

その商品を作ろう、売ろう、そのサービスを提供しよう、と思った背景や意図は必ずあると思います。それを主張し、活動として具現化していくことで、選ばれる商品をつくることができます。

その時に必要なのがそれを発信する人でありストーリーです。それを受信し易い形にしていくPRtableの活動は有意義だと感じました。

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平岡 大輔

プロモーション領域の端から端までを熟知しているバランス型マーケター。
総合広告会社でTVCM中心にマスメディアのプランニングに従事。
web系ベンチャー企業でクリエイティブ事業部の責任者として多数のwebサイト開発に取り組みながら、EC企業のマーケティングコンサルタントとしても活躍。D2C企業の経営に参画し、年間5億円の広告費を使いながら理論と実践のPDCAを回している。マーケティングのプランニングからディレクションまでを得意領域としており、チームビルディング・チームマネジメントにも精通。

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