電通マン36人に教わった36通りの「鬼」気くばり
以前、本屋で表紙を見て思わず買ってしまった本です。しばらく放置していたのですが、昨日サクッと読み終えました。ビジネスパーソンには一度目を通してほしいノウハウがそこにはありました。
天下の大出世を果たした豊臣秀吉を引き合いに出し、電通マンが実践する相手を虜にする気くばり法について紹介されています。
この本で語られている気くばりは相手のためを思ってやる行為ではなく、自己への評価を高めるための戦略的な気くばりです。そこに電通マンのクライアントを取り込むための執念が見えました。
本の中では自分も当たり前にやってるということから、そこまでやるか!ということまで紹介されています。
冒頭で紹介されている電通の礎を築いた吉田秀雄さん、小谷正一さん、堀貞一郎さんのエピソードは胸躍る内容でした。詳しいエピソードは割愛しますが、ここまで人に尽くして機会を作ることをしてきたからこそ、クライアントから求められて、結果巨大な企業となることができたのだと改めて感じさせられました。
広告会社に勤めているとき、入社直後から「ホスピタリティー」について叩きこまれました。それが今の自分のベースになっており、今でも仕事で生かせています。
本書に書かれている気くばり法で当たり前にやっていることがいくつかあったのも、その経験があったからだと思います。
ただ、コンサルティングをするようになり、仕事やクライアントとの関わりにおいても合理性を求めるようになりました。仕事の価値を出してなんぼ、むしろそれ以外で評価を得ることは本質的ではない、と思うようになっていました。
広告会社は基本的にメディアを売った利ざやで商売をしています。メディアはどこの会社からでも同じものを買い付けられます。
そのため、自社のメリットを出すためには、値引きをするか、おまけをつけるか、気に入られるかの選択をせまられます。(もちろん企画などの付加価値はありますが、媒体を買い付けるというメインのやりとりにおいては、そこまで評価をされないので省きます。)
値引きもおまけも限界があります。そのため、競合他社との差別化を図るには、如何にクライアントに気に入られる存在になれるかが重要になります。その成功法として「ホスピタリティ」について徹底的に教わったのだと思います。
でも、クライアントの求める結果を導けてこそ、ビジネスパートナーとして価値があるのではないかと思うようになってから、必要以上のホスピタリティはしないようになっていました。
必要以上のとは、戦略的な気くばりをしなくなったということです。相手のことを思ってやる気くばりは怠らないようにしていますが、あえて貸しを作るようなやり方はしなくなったということです。
お気に入りの「鬼」気くばり
・3日後に100%の答えを出すより、翌日60%の答えを出す
仕事はスピードが最も重要だという考え方から導かれている方法です。質については相手の感覚によるところがあります。でもスピードは客観的な指標なので、どんな相手に対しても価値を感じてもらえます。
電通には「今やれ、すぐやれ、ここでやれ」という金言があるようです。これ、すごく良いなと思いました。
・土下座は、相手の怒りのピークではなしない。一晩置いて、翌日みんなでする
相手が冷静になったタイミングで切り札を出すと効果が断然違うようです。これも相当な数の修羅場をくぐり抜けてきた電通だからこそうまれた手法だと感じました。
こういう小さなことの積み重ねが大きな差を生み出しているのだと改めて気付かされました。
経営者や決済者は常に忙しい存在です。そのため、自分に対して気配りというわかりやすい結果を常に示してくれる相手に信頼をよせます。
ただ相手のことを考えるだけでは、そういうった人たちに拾い上げてもらうことはできないと思います。戦略的に貸しをつくる気くばりの積み重ねを行い、大きなチャンスへと繋げていくことも大切だと思いました。もちろん仕事のうえでの価値をきちんと出すということは大前提で。
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