商品ではない、結果を売れ

  1. コラム

広告の役割は、商品を売ることです。

昨日見つけたこの広告はそのゴールを描けている良い例です。ポイントはベネフィット(商品によって得られる結果)が訴求されていて、その後の行動導線上に売場があります。

これは山手線のドア横ポスターなのですが、人間ドックを利用する可能性の高い人達が多数いる通勤電車で興味付けをして、降車後に駅前や会社の近くのコンビニでついで買いに繋げられます。

当たり前のように思えますが、ほとんどの広告ではこの当たり前ができていません。世の中の広告は自慢話しばかりです。「私たちはこんな会社です」「こんなことが大切です」「こんなことができます」など。


顧客が得たいのは、商品がもたらす結果です。多くの広告は、何が得られるのかを広告を見た相手に委ねています。生活者はそんなに積極的に広告を見ていません。


自分たちは職業柄、思わず視線を寄せてしまいます。でも一般の人たちはそれらを背景としてしか感じていません。むしろ邪魔なものと思っている人もいるくらいです。

一瞬で気をひき、興味を持たせ、行動を促さなければ、大金をかけてゴミをつくったようなものです。


この広告は、ごちゃごちゃといろんなことを伝えようとしているポスターが多い中、シンプルなビジュアルと、結果をダイレクトに伝えるメッセージ。ポスターだらけの社内では明らかに目立っていました。(とはいえ、ほとんどの人はスルーしていると思いますが。)

そして得られる結果をストレートに伝えています。「健康診断が待ち遠しくなる、なんでだ?」と思った人は内容を確認したくなります。そしてヨーグルトの広告だとわかり、「身体にいいものなのかな」と商品について認知します。

その後、なんで「身体にいいんだろう?」と思った人は検索して詳しい情報を得ようとします。そして納得すれば売場で手に取る。という行動に繋がります。

安い商品なので、わざわざ調べなくてもそのまま駅前のコンビニでついで買いをする人が多いとは思いますが、売場でベネフィットの理由(特徴の説明など)があれば導線としては完璧ですね。

広告は興味を引くことに専念する


ECの普及によって、広告の後にすぐ売場がある商品が増えています。全てのマーケティングがダイレクトレスポンスになりつつあると言えます。

なので広告でやることは、商品の特徴を伝えるのではなく、まず興味を引くことにより専念しなければなりません。そこで何も伝わらなくても構いません。何が得られるのか?何故得られるのか?はその後にいくらでも情報を与えていけます。どれだけ考えられて、お金をかけてつくった販売計画でも、誰の気も引けなければ全て意味のないものとなります。


もちろん、商品やベネフィットやターゲットの感心に関係の無い興味の引き方をしても離脱が増えるだけなので、その点には注意が必要です。

全てのマーケティングはダイレクトレスポンスを活用すべきとは思っていますが、僕は一般的に広告とされているイメージ広告を否定してはいません。


ダイレクトレスポンスはターゲットに照準を絞り、確実に仕留めるスナイパー的な戦法です。でもその効果を最大化するためには、仕留めやすい状態にターゲットをしておく必要があります。つまり、大海原で釣り糸を垂らすよりも、投網で囲いその中に釣り糸を垂らす状態を作るということです。

たくさんの人の欲求と商品のベネフィットを繋ぐことはもちろん、自分の欲求に気づいていない人に対して気づきを与える啓蒙の役割を果たすことで、広告によって顧客にできる人の数が格段に増えます。


ただそこで重要なのは、「この商品によって得られる結果が、自分の欲求を満たしてくれるのだ」と、ある意味洗脳できるくらいの大量の接触機会の創出(広告投下量)です。つまり中小規模の企業がやるべき戦法ではありません。(でも、すぐにみんなやりたがりますよね。)

今は検索している顕在化したユーザーに的確に情報を与えることで商品を売れます。ほとんどの企業はそれだけで十分だと言えます。

でも、あらたな市場を作っていくためには、気付きを与え、こちらを振り向いた相手に対して、確実に仕留めるためのダイレクトレスポンスアプローチの整備が必要です。マーケティング担当者の仕事は尽きることがありませんね。

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平岡 大輔

プロモーション領域の端から端までを熟知しているバランス型マーケター。
総合広告会社でTVCM中心にマスメディアのプランニングに従事。
web系ベンチャー企業でクリエイティブ事業部の責任者として多数のwebサイト開発に取り組みながら、EC企業のマーケティングコンサルタントとしても活躍。D2C企業の経営に参画し、年間5億円の広告費を使いながら理論と実践のPDCAを回している。マーケティングのプランニングからディレクションまでを得意領域としており、チームビルディング・チームマネジメントにも精通。

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