年末年始で大阪の実家に帰省していました。毎度のことながら近所のさびれた商店街を通るたびに、時代の趨勢に思いを馳せてしまいます。今日は新規出店者が陥りがちなミスについて書きます。
今回の帰省時に、いつもと変わらない風景の中で目に止まった光景がありました。シャッター化していく商店街に、似つかわしくないオシャレな外観の開店準備中のお店を発見。
広くない店内は、商店街側の窓に向かって背の低いテーブルが横に並び2・3席、奥にはハイチェアが4席程おけるカウンターがありました。
喫茶店しかない地域に紛れも無いカフェの登場です。「珍しいな〜」と思うと同時に、「ここで商売やっていけるんかな〜」と心配になりました。
その理由は、顧客となる商店街利用者の多くが高齢者なことです。背も低く、腰も曲がっているような高齢者がハイチェアでお茶をするのか?したとしてもゆっくりと過ごすことができないのでリピートしないのでは?と、ついつい思ってしまいました。
商店街に生存するお店は、惣菜屋、服屋、薬局がほとんどで、高齢者向けの昭和初期からあるようなお店ばかりです。そもそも人通りもほぼない商店街で、若者・中年受けしそうなカフェに入る客がどれだけいるのか疑問です。
地元のさびれた商店街でわざわざお茶をする若者はまず居ないと思います。店主の友人のたまり場になるのがオチかなと。
コミュニティだけで十分な経済
僕の実家はサンドイッチ屋をしています。駅から少し離れたところにある、地元ではメインの商店街の脇にあります(前述の商店街とは別の商店街で、こっちは賑やか)。
基本はテイクアウトのお店なのですが、1坪半くらいの店内には3人が座れるカウンターがあり、中で淹れたてのコーヒーを飲むこともできます。ただ、店内を利用するのは常連さんのみです。100数十円のサンドイッチを売り、それで生計を立てています。
子どもたちも自立し、土地も建物も自分のもので、生活費以上に大きく稼ぐ必要がないので、それでも十分にやっていけているのだと思います。
さびれた商店街に新規OPENするカフェも、子供を育てきった親世代が自分たちの家を改装し、老後の楽しみとして自分たちの友人や地域の人たちの居場所づくりのために、あの商店街にお店を出しているのかな?と思いました。
ターゲットのことを考えた時に、カウンターメインの店内をネガティブに感じる一方、そのエリアで唯一の存在であることをポジティブにも感じました。商品を作る時に最も重要なUSP。つまり独自性がこの開店準備中のお店にはあります。
物珍しさが人を集めることは間違いないと思うし、現代の高齢者は高度経済成長の中でいろんなブームを作ってきた人たちなので新しいものへの食いつきが良く、いつまでも若くいたいという願望もあります。
そう考えると、変わらない毎日に舞い降りた自分の生活をちょっと素敵にしてくれる非日常な存在として、付近で生活する高齢者に求められるお店になるのではないか?とも思いました。
全てはフタを開けてみなければわからないので、あのお店がどうなっていくのか、帰省時の楽しみになりました。
コメント