経営者が人前で話をするということ

  1. コラム

最もやってはいけないことは「人の時間を奪うこと」です。頭では理解できるものの、ビジネスシーンにおいてはよく時間泥棒を見かけます。

昨日まで開催されていた「Web&デジタルマーケティングEXPO」の基調講演で、スマート決済に関するプレイヤー3社が順に登壇しました。本日は、この基調講演で2社目に登壇した方のプレゼンについてのお話です。

伝わりやすいプレゼンは目と耳でつくる

1社目の方は、「そもそもスマート決済とは」「それにより利用者の環境がどう変わるのか」をシンプルに、わかりやすい言葉で、しっかりはっきりと伝えており、ストレスなく聴講できました。今後より広がる可能性にも期待を感じさせられた30分でした。

またプレゼンシートもビジュアル中心で、言葉に合うイメージをバックに表示しながら、トークで想像に輪郭をつけていくような構成になっており、目と耳で内容が具体的になり、理解がスムーズでした。今後の自分のプレゼンの参考にしようと思います。

続いて問題の2社目の方ですが、冒頭で「同業3社のセッションなので、内容に被る部分があると思います。1社目の方のプレゼンを受けて、多少内容に変化をつけてお話したいと思います。」的な発言をされました。

これは”用意していたものを進めるのではなく、アドリブも交えて来場者にとってより有益な内容にしていきます。”という宣言だと僕は受け取りました。

楽しみににしていたものの結果的に残念な内容でした。。

最初に流れの大枠は提示していたものの、中身の情報が整理されておらず、終始何の話をされているのか全くわかりませんでした。

事例を挟みながら聴講者にイメージしやすくしようと思ったのだと思いますが、ストーリー立てて話せていないため、利用者のイメージも利用シーンも全く頭に入ってこず、断片的な部分の話をいきなりするので、”だから何?”と思う場面が多々ありました。

途中途中、言葉を詰まらせ、頭の中を探り探り話している感じだったので、無理にアドリブを入れようとしたために、しどろもどろになってしまっている状況でした。

プレゼンシートも数枚で、各パートの主題のみがテキストで表示されているような構成だったので、おそらくトークのみで聴講を引きつけ、引き込み、理解を促そうとしていたのだと思いますが、あまりにも内容がお粗末かつ陳腐なしゃべりだったので、30分が恐ろしく長い、聴くに絶えないセッションでした。

言葉は重ねた数だけ磨かれる

圧倒的な推敲不足、練習不足の結果の賜物だと思います。

プレゼンが上手い人は練習を積み重ねています。プレゼン用の練習ということもそうですが、普段から話している言葉があるから、ステージの上でも普段通り話せます。繰り返し口にしてきている言葉だからこそ、気持ちが入り、相手に伝わるのだと思います。

つまりそれができていないということは、普段から深く思考をせず、周りに事業についての想いも伝えていないと言えるのではないでしょうか。

今回登壇された方は、その会社の代表取締役という役割で、聴講しに集まった数千人のビジネスパーソンの前で、自分たちの事業のこと、その事業が作っていく世界について話す場だったにも関わらず、結果的に自らの事業への想いの薄さを露呈してしまったと、僕は受け取りました。

トークの精度が高められていないのであれば、シートに頼ればいいと思います。ですが、プレゼンの理想形を追い求め、過信による墓穴を生み出しました。自分が投資家であれば、この経営者には投資しないなと思った次第です。

言い過ぎかもしれませんが、実りの無い講演によって、数千人、仮に2000人とした時に合計で1000時間もの時間を奪ったことになります。一人あたり30分の損失ですが、その30分を別の時間に費やしていたら得られていたものがあるかもしれないのに、その機会すら奪ったことになります。

改めて自分のために時間を作ってくれている相手に対して、少しでも多くの良いことを提供していかないといけないなと思いました。

今後登壇するのが恐ろしくなるくらい身が引き締まりました。プレゼンの準備しっかりやらないと。。

 

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平岡 大輔

プロモーション領域の端から端までを熟知しているバランス型マーケター。
総合広告会社でTVCM中心にマスメディアのプランニングに従事。
web系ベンチャー企業でクリエイティブ事業部の責任者として多数のwebサイト開発に取り組みながら、EC企業のマーケティングコンサルタントとしても活躍。D2C企業の経営に参画し、年間5億円の広告費を使いながら理論と実践のPDCAを回している。マーケティングのプランニングからディレクションまでを得意領域としており、チームビルディング・チームマネジメントにも精通。

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