マーケティングのSTP|売れるかどうかを決める重要ポイント

マーケティングの成功に必要なことは、適切な見込み客を見つけて、その見込客の課題を解決する商品を作り、その商品を届けるプロセスを作ることです。

STPとは経営学の父コトラー教授が発表した「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の3つを決めることで、効果的に顧客づくりをしていけるという考え方です。マーケティングに必要な3つの要素の1つ「適切な見込客」を明らかにするために使います。

マーケティングは誰に売るのかを決めるところから始まります。誰に売るのかが決まってなければ、何を作ればいいのか、どう届ければいいのかがわからないからです。でも、すべての人の「欲しい!」に応えることはできません。そこで、市場を細かく切り分けて狙いを絞ることで、マーケティングしやすくするという考え方がSTPです。

マーケティングの用語を覚えることはそこまで推奨していないのですが、このSTPに関してはマーケティングの実践においてもかなり重要な考え方で、過言ではなくその成否を分けるものになります。コトラー教授はいろんな理論を立てられていますが、STPはかなり実践的で役に立てられる考え方だと思うので、是非覚えておいてください。


Segmentation(セグメンテーション)とは

市場を見込み客のニーズとウォンツで区分けすることがセグメンテーションです。つまり、どんな欲求を持った人たちを見込み客の塊(セグメント)として設定するかを決めるということです。特定した見込み客の塊(セグメント)を、「地理的要素」「人口統計的要素(デモグラフィックス)」「価値観的要素(サイコグラフィックス)」「行動的要素」の4つの切り方で細分化していきます。

わかりやすく言うと「どこの場所か」「どんな人か(外面)」「どんな人か(内面)」「どんな状況か」の4つの見方で切り分けていくということです。

地理的要素<どこの場所か>

国、都道府県、市町村など。多くのビジネスが土地に根ざしています。そのため、どのエリアでマーケティングすべきかが決まっていました。でも、今はネットを利用することで地理的要素にとらわれないビジネスをしやすい環境ができてきています。店舗でサービスを提供するような事業でなければ、そこまで意識することのない要素になってきていると思います。

デモグラフィックス<どんな人か(外面)>

性別、年齢、年収、職業、家族構成など。誰もが「自分は●●です。」と答えられる分類分けがデモグラフィックスです。若年層を見込み客にするのか、高齢者を見込み客にするのか、安い商品を売るのか、高い商品を売るのか、子供のための商品なのか、大人向けの商品なのかなど、外面的な傾向をもとに誰のための商品を作り、届けるのかを決めます。

サイコグラフィックス<どんな人か(内面)>

性格、ライフスタイル、価値観など。「自分は●●なタイプです。」と答えらえる分類分けがサイコグラフィックスです。安さが大事なのか、高くても質の高さが大事なのか、デザインにこだわるのか、機能が大事なのか、人が持っているものが欲しいのか、人と同じは嫌なのか、どういうタイプの人を見込み客にするのかを決めます。

行動的要素<どんな状況か>

機会、購入有無、利用状況、態度など。見込み客の状況や状態を決めます。機会とは、その商品が必要になるタイミングを迎えている状況を表します。例えば、就活、結婚、葬式など、トイレが詰まったなども機会と言えます。購入有無というのは、すでにあなたの商品を買ったことがあるのか無いのか、1回だけ買ったことがあるのか、継続的に買っているのかなどの状況を表します。利用状況は、たまに使うのか、頻繁に使うのかなどを表します。態度は、熱狂的なのか、肯定的なのか、無関心なのか、敵対的なのかなどを表します。

これら4つの切り口を使って、あなたがマーケティングしていく見込み客の塊が、どういう人たちによってできているのかを細かく分解していくことができます。

Targeting(ターゲティング)とは

細分化したセグメントのどこに絞ってマーケティングしていくかを決めることです。この決め方として、1つのセグメントにするのか、複数のセグメントにするのかということを学術的には述べられるのですが、多くの企業が取り組むべき実践的なマーケティングにおいては、1つのセグメントに決めることだと考えてください。

なぜなら、経営資源を複数に分散できるほど基盤が整っているわけではないからです。とにかく、自分たちが具体的にイメージできる顧客がいる塊(セグメント)を、ターゲット市場として決めてください。

おすすめの選び方は、自分たちがよくわかる人たちがいる市場を選ぶことです。身近にいる人を見込み客と設定できるようなセグメントを選ぶことから始めると、顧客理解をしやすくマーケティングがしやすくなります。自分自身の肌の悩みをもとに化粧品を開発してヒットさせている企業がありますが、これはまさに自分自身がターゲット市場ど真ん中にいる見込み客だったという例です。

ターゲティングのポイント

「絞る=他を捨てる」ということです。選んだ市場以外は見ない、気にしない、これが鉄則です。

多くの商品が顧客に選ばれないのは、見込み客を絞れていないことが大きな原因です。中途半端に「この年代の人にも、この年代の人にも買ってもらいたい」と思ったり、「将来的に結婚するかもしれないからそういう人にもアプローチしたい」みたいな考え方をしがちですが、それは絶対にやめてください。

焦点が絞れていないとふわっとした商品になり、ふわっとしたコミュニケーションになってしまうからです。誰に向かって話してるのかわからない街頭演説と同じで、誰にも伝わりません。

見込み客を絞り、絞った相手が欲しいと感じ、買いたいと思って、買いに来るような商品を作り、届けることを目的にしてください。なので、ターゲティングした見込み客以外のセグメントは捨ててください。自社に複数のセグメントをカバーできるだけのリソースは無いということを前提にターゲティングに取り組んでください。

セグメントの中で、より具体的な見込み客を特定することがターゲティングです。

Positioning(ポジショニング)とは

設定したターゲット市場の中で、自社の商品がどういう立ち位置を取るかを決めることです。立ち位置というのは、「●●といえばコレ(あなたの商品)」という状態を作ることです。

似たような商品の中の1つではなく、その中でも特徴的な商品として見られるために、どんなエッジを立てるのかを決めることになります。機能重視なのか、デザイン重視なのか、価格重視なのかなど、顧客の選ぶ基準に合わせて自社の商品の1番を何にするのかを考えます。

つまり、「他の商品との違い」を何にするのかを決めることだと言えます。この「他の商品との違い」がUSPと呼ばれるもので、「独自の売り」という意味です。USPという言葉はよく使われていますが、その使われ方はよく間違われます。言葉の意味として「独自性」という表現をされるために、ただ他社との違いがあればいいと思われがちです。

USPで売りとすべき独自性は、見込み客が求めている独自の価値でなければいけません。わかりやすく説明すると、今ある商品では満たせていない課題を解決できる商品であることが、独自の売りであり、顧客にとって意味のあるUSPとなります。

例えば、「牛丼と言えば安い食べ物」というイメージが一般的です。そこに対して、同じように安い牛丼を作り参入してもうまくはいきません。なぜなら、安さを提供する牛丼はすでに市場に存在するからです。

今から参入するとしたら、今の市場では満たせていない見込み客の課題を解決できる商品でなければいけません。例えば、「高くてもより美味しい牛丼を食べたい」という人のために、高い牛丼を売るというアプローチになります。

もちろんたくさんの人が求めているものではないので、大量に売れることはないと思います。でも、高くてもより美味しい牛丼を食べたいと思っている人にとっては、あなたの販売するプレミアム牛丼しか選択肢がない状況を作れます。

選択肢がなければ、あなたの商品が選ばれますよね。顧客が自ら欲しいと感じ、買いたいと思い、買いに来る状況を作るのがマーケティングでした。

つまり、マーケティングはポジショニングによってその成否が分かれます

 

STPまとめ

どういう見込み客の塊に対して、商品を作り、届けていくのかを決めるのがSTPでした。セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという3つの観点で、市場を決めて、見込み客を決めて、自社の立ち位置を決めます。見込み客がどういう人たちなのかが見えれば、今ある商品に対してどんな不満を感じているのかを想像することができます。

そして、その満たせていない課題を解決するための商品を作り、独自の価値を提供していくことで、求められる商品にしていくことができます。そして、マーケティングが成功へと近づきます。

 

動画でも解説していますので、こちらもご参考ください⬇︎

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