ビュースルーコンバージョン?

理解してもらうためにはまず相手を理解する、というお話。

クライアントがディスプレイ広告の効果指標をどうすれば良いか?という悩みを持っていました。
新規ターゲットの認知獲得のために、DSPを使ってディスプレイ広告の配信をしています。

全体として獲得数を増やすことと、獲得単価(CPA)を合わせることは、担当者の方も理解はしています。ただ、上層部から「なんで費用対効果の悪い施策をやってるの?」と言われたら返す刀がないと困っていました。

どういう指標を元に評価をしていけばよいのか、上層部のツッコミに対してどう説明をすればよいのか悩んでいました。

ちなみに商品は利用期間も長く、多少高額なものです。その会社は営業力の強い会社で、売上のほとんどを催事スペースなどでの集客から上げています。webでのセールスは数年前に始まったばかりなので、まだまだ社内的にweb活用の理解が得られていない状況です。

「広告のインプレッション(表示)による獲得への影響度を指標にできないのか?」と、勉強熱心な担当者の方は考えていました。でも僕はこう答えました。

できるだけ確からしいデータを扱う


「ラストクリックコンバージョンから離れれば離れるほど、怪しい数値になります。ビュースルーコンバージョンなんてものは、厳密には影響したかどうかなんてわからない代物です。

それを成果として追うのは得策ではありません。もしアシストする役割としての指標をもたせるのであれば、クリックスルーコンバージョンの数(媒体の管理画面上で計測されるCV)を指標にするのが良いと思います。

クリックはほぼ確実に起こっている行為なので、まだ信憑性があります。インプレッションなんてものは実際に見ているかどうかはわからない代物です。


TVCMや新聞の全面広告とかの媒体面の全部を占める広告ですら見ているかどうかは怪しいもんです。それなのにwebの小枠のような掲載面に表示されている広告を「1インプレッション=1視認、さらには獲得へ影響を与えたか否か」と考えることなんて意味がないと思います。」

そう言うと、「たしかにそうだけど、じゃぁ、どう報告すればいいんですかね、、、」とまた困惑の表情を浮かべられたので、こう補足しました。

「リアルの営業現場では、目の前を通る人への声掛けから始まって、商品の説明、クロージングという流れがあって、それぞれのプロセスに歩留まりを設けてますよね?

その声かけをディスプレイ広告のターゲット配信は担っています。これを増やせば増やすほど、最終的なクロージング数が増えるのは理解してもらえると思います。

なので、広告で追うべき指標は基本的にはどれだけのターゲットを売場(LP)へ誘引できたか?一人あたりいくらのコスト(CPC)で送客できたか?と説明すれば理解してもらるんじゃないですかね?」

営業畑の上層部の方も理解できる説明の仕方をすれば、それだけで話は通ると思います。

データが取れるという罠

こういう悩みをあなたも抱えているかもしれません。この悩みを解消するために、データを細かくトラッキングするためのツールを入れようとしがちです。でもそ果たしてその数値の把握をして、どこまで改善に繋げられているのかは疑問です。


数値を見れて満足、報告のためのデータが取れて満足している状況が多いのではないかと感じます。データを把握しているならまだましです。入れたは良いけど、少し触ってしばらくしたらログインすらしていない、というツールも多いのではないでしょうか。

webプロモーションのPDCAを回すためのデータのトラッキングは、無料で利用できるUniversalAnalytics(GoogleAnalytics)で基本的には十分です。

報告のためのデータに意味はありません。改善の打ち手を考えるための材料にしなければいけません

ビュースルーコンバージョンなんてものを持ち出しても、そもそもその考え方を理解してもらうのに手間がかかります。僕が経営者ならそんなあやふやな指標を信じません。

「費用対効果の悪い施策を何故やっているのか?」経営層からのこの問は良く起こります。

理解を仰げず、単純な獲得数と獲得単価だけを媒体選定の指標にしてしまっている企業では、ターゲットユーザーの母数を自ら増やせないので、計画的に顧客獲得の母数を大きくしていけません。そのため、事業の踊り場に乗り上げて事業拡大させられない状況に陥りがちです。

経営者が求めることは、シンプルに最終的な獲得数が増えることだけです。

「広告を見たかも知れない人がこれだけ購入しました」という数値よりも、「反応して売場へ訪れた人がこれだけ居て、結果的にこれだけの人が購入しました」という数値を示す方が、獲得への影響度を測る指標としては管理もしやすく、説明もしやすいと思います。


相手の理解できる土俵で話をする、これができれば多くのwebマーケティング担当者の方の悩みも少しは解消できるのではないかと思います。

広告業界の提唱する話を鵜呑みにしてはいけません。

 

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